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第725夜:盛雄のこけし(昭和20~30年代)

Morio_s30_kao鳴子の老舗「高勘」の当主であった高橋盛雄のこけしは、父盛や弟福寿に較べて今一つ人気のないこけしとなっている。そんな盛雄の比較的古いこけしがヤフオクで出ており、最低価が下がったにも拘わらず誰一人として応札されない状態が続いていた。私もずーっと注視していたのだが、思い当たることがあり応札して、最低価で落札した。その思い当たることとは、第681夜で「福寿か?」として紹介したこけしのことである。そのこけしと、今夜紹介する盛雄のこけしに共通点を見つけ、そこから681夜のこけしが盛雄作であるとの結論に至ったのである。今夜は、その話をしてみたい。口絵写真は盛雄こけしの表情である。

Morio_s30_kao_hikaku

先ずは、写真(2)を見て頂きたい。右が第681夜で紹介した「福寿か?」としたこけし、左が本項のこけしである。いままで左のような盛雄のこけしを知らなかったので、右のこけしは福寿に近いと考えたのである。昭和27年(右のこけし)頃の福寿のこけしも表情は近く、福寿としてもそんなに違和感は感じなかった。今回、右のこけしは盛雄だと判定した決定的な決め手は、口の描き方である。この時期の盛雄は2筆の口が繋がっているのである。この2本のこけしを見て、その口の描法が全く同じであることが分かるであろう。福寿は2筆が離れているのである。本項の盛雄こけし、両目が離れていて眼点が大きいせいか、何ともあどけなく愛らしいこけしになっている。

Morio_s30_hikaku

写真(3)は昭和30年代前半の盛雄こけしを並べてものである。右端が昭和27年の4寸、右から2番目が昭和30年の8寸、左端が35年の8寸である。8寸の右3本までは、頭は角張り前髪が頭頂部に近く、口も2筆が繋がっている。左2本では頭が丸くなり、前髪も下がり、眼点が小さくなって一筆目に近くなり、口も2筆が離れている。従って、30年代前半で作風が大きく変わってきたのが分かるのである。

Morio_s30_syomei

写真(4)は胴底の署名である。右端は署名なし、30年代に入ると丸い鉋溝の中に「盛雄作」と書き込むようになる。そして、その署名は左2本のように次第に紋様化されて、亡くなるまで続くのである。

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鳴子系」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

今回のレポートは私にとってナイスです。

木童舎コレクションにも何点か昭和20年代の
高勘こけしがありますが、盛、盛雄、福寿など
の見分けがつかずにいました。

このよいレポートを参考にして、少し検討してみます。

投稿: 木童舎 | 2012年6月20日 (水) 17時42分

木童舎様
お久し振りです。
「高勘」の昭和20年代のこけしは、分からないことが多いですね。
盛一家が秋田に行ってからは、弟子も含めて多くの工人がこけし製作に関わっているので、誰の作かの見極めは難しいです。秋田時代であれば、盛、きくゑ、盛雄、皆川たみ子、鳴子に戻ってからは、盛、きくゑ、盛雄、松子、福寿でしょうか。当時の事を知っている人も殆どいなくなってしまった現在、その残されたこけしから判断するしかないですね。木童舎さんの研究成果を期待しています。

投稿: 国恵志堂 | 2012年6月20日 (水) 23時08分

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