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第741夜:武志さんの達磨

Takeshi_hatimaki_daruma昨夜の秋保訪問報告でも少し触れたが、今夜は佐藤武志さんの達磨について詳しく紹介したい。武志さんは、佐藤武雄さんの二男で昭和20年の生まれ。昭和38年から木地修業を始め、こけしを作っているとある。こけしは、基本的に武雄型を継いでいる。現在は、こけしよりも木地製品に力を注いでおり、特にミニの木地製品(1cm程の木地玩具や手作り台所セットなど)の精密さは素晴らしい。輪入りこけしの輪も半端ではなく30個もの輪の入ったこけしもあった。輪入りは達磨にも応用されて、赤白の回る鉢巻を締めている。口絵写真は、その鉢巻達磨の頭部である。

Takeshi_daruma_2tai

写真(2)は今回の秋保訪問で入手した武志さんの達磨。左は、木の形を活かした台に鎮座した鉢巻達磨で、円夫さんのお店で購入した。その後に武志さんを訪問して、右の入れ子達磨(10個入り)を購入したのである。

Takeshi_daruma_10tai

写真(3)は入れ子の達磨を全部出して並べたところ。一番外側の大きな赤達磨が高さ7cmで、一番小さな達磨は7mmである。各達磨は色と表情を変えてあって楽しめる。これだけ小さなものを挽き、さらに描彩をする技術には、ただただ感心するだけである。入れ子の限界に挑戦した作品と言って良いだろう。それは、ミニ製品に対する武志さんの拘りなのかも知れない。

Takeshi_daruma2_10tai

写真(4)は各達磨を二つに割って並べたもの。入れ子の場合、一番小さなものは単体であることが多いが、この達磨では最少の達磨も二つ割れになっている。その横に見えるのは割り箸の頭。その小ささが分かると思う。

Takeshi_daruma0_10tai

写真(5)は頭部と胴部それぞれに入れ子を重ねた状態。その木地の薄さが分かると思う。

Takeshi_daruma_kasane_10tai

写真(6)は達磨の頭部を重ねて見たところ。慎重に重ねれば10個全部を縦に重ねることも出来るだろう。

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コメント

武志さんの小さな作品は、驚くほど美しくて愛らしいですよね!
秋保里センターにある作品ももちろんですが、お店に伺うと、そのバリエーションの多さと腕に唸ります。ただ、技術的に素晴らしいだけでなく、作品にユーモアや情緒があり、芸術的な筆使いまで見事な、本当にすごい方だなと常々感じます。
この達磨の素敵なこと!表情も色も飽きのこない逸品ですね!

投稿: nina | 2012年7月15日 (日) 06時15分

nina様
こういう作品を見ると、やはり木地師なんだなぁと思いますね。その卓越した木地技術をもとに、自身の工夫を加えて描彩もきっちりこなす。武志さん本人も楽しんで作っているのでしょう。もう、武志さんの世界ですね。

投稿: 国恵志堂 | 2012年7月15日 (日) 11時26分

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