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第739夜:秋保の里現況(1)

120710akiu_agatuma_koduti10日にカメイ美術館で「私の好きな戦後のこけし」展を見学した後、秋保の里を訪れた。実は秋保に行くのは今回が初めてであった。最近、秋保の古いこけしを入手したこともあり、その調査も兼ねての訪問である。秋保のこけしは遠刈田系の亜系(秋保亜系)と位置づけられており、大きな頭、太い胴に緑の太いロクロ線が象徴的である。その中心的存在であった菅原家は敏さんが亡くなった(平成4年)ことで断絶しており、今回は、残る山尾家と佐藤家に訪問の連絡をした。ところが、山尾家は現在こけしを作っていないとの返事があり、結局は佐藤家のみの訪問となってしまった。口絵写真は我妻吉助さんの打ちでの小槌(ガラ入り)である。

車で秋保温泉まで連れて行って貰う。秋保の工人さんは、9軒の工房が集まっている「秋保工芸の里」と温泉街に分かれて住んでいる。先ずは秋保工芸の里へ。

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写真(2)は工芸の里の入り口近くにある鈴木明さん(作並系)の工房。「お休み」の札が掛けられていたが、連絡すると戸を開けて中に入れてくれた。明さんは友の会の今年の新年例会の招待工人でもあり、懐かしい再会でもあった。

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写真(3)はその店内。こけしや木地製品が整然と並んでいて気持ちが良い。

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写真(4)は鈴木明さん。「こけし時代(第4号)」では、写真のモデルにもなっている。

工芸の里では、次に我妻吉助さん(遠刈田系)の工房があったのだが、事前に調べていなかったため取りあえず、中を覗いてみることにした。吉助さんは大正8年生まれで93歳とのこと。流石に今はこけしを作っていないとのことであったが、以前に作ったこけしが長男の敏さんのこけしと一緒に店内に並んでいた。「伝統こけし最新工人録」によれば、敏さんの息子の真人さんもこけしを作っていることになっているが、その確認は出来なかった。

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写真(5)は吉助さんの工房

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写真(6)は店内の様子。種々の木地製品が並んでおり、その一角にこけしも並んでいた。

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写真(7)は入手したこけし。左が敏作(くわ材)で、右が吉助作。大きさは3寸5分。吉助さんは90歳前後の作であろうか。達観したような一筆目の表情は吉助こけしの集大成なのであろう。

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