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第773夜:初見の黒頭こけし

Hatsumi_s14kuro_kao今夜も昨夜の続編のような形で話を進めたい。先日のヤフオクには昨夜の民之助の他に松田初見の黒頭(オカッパ)こけしが出品されていた。鳴子で黒頭というのは殆ど見かけないし、これも戦前のこけしと言うことで頑張って入手した。今夜は、その初見の黒頭こけしをご覧頂きたい。口絵写真は、その黒頭こけしの表情である。

Hatsumi_s14kuro_hikaku

写真(2)は、昨夜紹介した写真に本項の黒頭こけしを追加したものである。先ず、この3本のこけしの表情(面描)が殆ど一緒、即ち同一工人のものであろうことがお分かり頂けると思う。本項のこけしは大きさが4寸3分で左のこけしのほぼ半分であるが、木地形態は単純に縮小した訳ではなく、かなりの細胴にし、それに合わせて頭も小さくなっている。戦前の初見こけしは美人こけしであるが、このこけしでは胴も細くすっきりして美人度が上がっているのではないか。胴模様は花弁の離れた菱菊であるが、小寸で細胴のためか上部は開いた横菊ではなく赤1点の蕾にしている。

さて、肝心の黒頭であるが、初見の師匠の幸八のこけしには、『大きさが尺2寸5分位で一対のこけしがあり、その1つには頭部に髷を描き、1つはオカッパ頭であった』との話が「こけし手帖12号」に米浪氏の記事として掲載されている。そのオカッパ頭のこけしは戦災で焼失してしまったために、どのようなものであったかははっきりしないが、初見がそのこけしを知っていれば、その記憶から本項のような黒頭こけしを作ったのかも知れない。または、その事を知った収集家の依頼で作ったのかも知れない。ただ、尺2寸5分もの大寸ものでオカッパ頭がどのようなものであったのかは、なかなか想像し難いものである。

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