第767夜:正司さんの吉太郎写し(5)
写真(2)が原作とその写し。左から2本目が吉太郎である。大きさは尺6分。「原」は、その張りのある表情から、面描は吉太郎と思われるが、胴模様はその繊細でち密な描法から、女性描彩者の黒田ウメノと思われる。花芯部は黄色の絵具が使われており光って見える。何の花かは良く分からないが、花の大きさは下部が大きく、上に行くに従って小さくなっている。また、6輪の花を単純に縦に並べるのではなく、3輪は重ね合わせることでアクセントを付け、上部左横には横向きの1輪を添えている。なかなか心憎い演出ではある。流石に筆達者な正司さんも、この胴模様には苦労したそうである。花芯には普段は使わない黄色の絵具を使用し、色落ちしないように、その部分には上からラッカーを塗っている。まさに労作である。
写真(3)に頭の部分を並べてみた。胴模様とは一転、面描の筆は闊達に伸び、集中度のある素晴らしい表情となっている。あの吉太郎の「写楽」を彷彿させる出来である。この表情なら、通常の胴模様の方が良かったかなとも思った次第である。
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