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第767夜:正司さんの吉太郎写し(5)

Kititaro_akahana_kao台風一過の青空で、また残暑が戻ってきたような一日であった。今日から10月、私の自由人生活も第2年目に入ってきた。当然のことながら自由な時間は増えているのだが、それに見合った成果は出ていない気がする。単に時間の使い方がルーズになっただけかも知れない。さて、8月に米沢の長谷川正司さんを訪ねた折に置いてきた吉太郎の写しが送られてきた。その吉太郎描彩とはとても思えぬ細かなど胴模様に大変苦労したそうである。今夜は、そのこけしを紹介しよう。口絵写真は「原」こけしの吉太郎の表情。

Masashi_akahana_kiti_hikaku

写真(2)が原作とその写し。左から2本目が吉太郎である。大きさは尺6分。「原」は、その張りのある表情から、面描は吉太郎と思われるが、胴模様はその繊細でち密な描法から、女性描彩者の黒田ウメノと思われる。花芯部は黄色の絵具が使われており光って見える。何の花かは良く分からないが、花の大きさは下部が大きく、上に行くに従って小さくなっている。また、6輪の花を単純に縦に並べるのではなく、3輪は重ね合わせることでアクセントを付け、上部左横には横向きの1輪を添えている。なかなか心憎い演出ではある。流石に筆達者な正司さんも、この胴模様には苦労したそうである。花芯には普段は使わない黄色の絵具を使用し、色落ちしないように、その部分には上からラッカーを塗っている。まさに労作である。

Masashi_akahana_kao_hikaku_2

写真(3)に頭の部分を並べてみた。胴模様とは一転、面描の筆は闊達に伸び、集中度のある素晴らしい表情となっている。あの吉太郎の「写楽」を彷彿させる出来である。この表情なら、通常の胴模様の方が良かったかなとも思った次第である。

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