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第789夜:正吾さんの武蔵(昭初)写し

Syogo_takezo_syosyo_kao10月20日に日帰りで鳴子に出掛け、高橋正吾さんに昭和初期と思われる武蔵のこけしを見て貰い、いつでも良いからと言って写しの作成を頼んできた。そのこけしが昨日送られてきたので、今夜はその紹介をしたいと思う。正吾さんには、これまでに何回も写しの作成をお願いしており、その中には今回と同じ時期のものもあったが、それから暫く経っており、どのようなものが出来あがってくるか楽しみであった。口絵写真は、その昭初武蔵写しの表情である。

Syogo_takezo_syosyo_hikaku

写真(2)の右から2番目が武蔵の原(第746夜参照)で、残りの3本が正吾さんの写しである。正吾さんは、「充分に写しきれてはいないと思いますが、柴長武蔵が目にちらつき申し訳ありません。」と送り状に書かれていた。柴長武蔵とは、柴田長吉郎氏が所蔵していた武蔵古作で、極端なまでの下目が特徴となっているもの。さて、今回の写しであるが、正吾さんのそんな言葉とは裏腹に見事なまでに仕上がっている。先ず、木地形態、蕪頭に直線的なすっらとした胴、裾部にカンナ溝が1本、やや低めの肩の山など、完璧である。黄胴にゆったりと描かれた重ね菊も、「原」の雰囲気を余すところなく描きだしている。そして、顔の表情である。「原」の保存状態が悪いために、正吾さんも苦労されたと思われる。特に意識した訳ではないと仰っていたが、「原」に忠実に右の眉と目をやや下げたもの(左から2番目)、左右の目を同じ高さに描いてキリッとした表情のもの(右端)、そして、右の眉・目を極端に下げたもの(左端)と3本とも違った雰囲気に出来あがっていた。特に左端は柴長武蔵の意識が働いたのかも知れない。ちょっと極端過ぎるかとも思えるが、却ってコケティッシュで愛らしいこけしに仕上がっている。あと20日足らずで83歳となる正吾さん、木地挽きも描彩もまだまだ健在であり、嬉しい限りである。

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コメント

ごぶさたしています。

そうですか、正吾さん、83歳に成られ

るのですか!

頭が下がる想いを、この作品を観てより

強く持ちました。木地挽き技術、描彩力

も健在と安堵しました。

願わくば、新しい愛好家にもこの様な作品

が嫁がれます様にと、念じています。

投稿: 木童舎 | 2012年12月 1日 (土) 13時53分

木童舎様
お久し振りです。
我々も還暦を越えたのですから、戦後のこけし界の中心だった工人さん方が一人、二人と減っていくのは仕方のないことなんでしょうね。
正吾さんたちが健在な内にその技術が若手に引き継がれて欲しいですが、なかなか難しいのでしょうね。何らかの役に立てればと思うのみです。

投稿: 国恵志堂 | 2012年12月 3日 (月) 22時38分

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