第784夜:正一の太子型変遷
写真(2)に正一の太子型を並べて見た。右から、昨夜紹介した5寸2分(S17.11)、4寸3分(S20年代後半)、4寸4分(S31.11),6寸6分(S33.10)、8寸2分(S36.2)、6寸8分(S39)、8寸2分(S40頃)である。こうして見てみると、昭和20年代までと30年代以降で形態が大きく変化していることが分かる。一番の違いは胴裾の黒で塗られた台である。右の2本ではかなり厚く、形状も円筒型である。一方、左の5本では厚さも薄くなり、下部が窄まった受け皿状になっている。右端の戦前作は胴の括れも直線的で、胴裾の台は高さが1.5cmもある。正一が参考にしたであろう太治郎のこけしを「木の花(第参拾号)」の『太治郎こけし』で探してみると、⑰の1尺(S15)の太子型が細身で近い形態である。⑰の下部の括れをもう少し絞れば右端の正一作に近づくが、それでも胴裾の台はこんなに厚くなっていない。④の4寸はやや厚くなっているが、正一ほどには極端ではない。写真(2)右から2番目は作りつけであるが、胸の膨らみが大きくなって胴裾の括れが目立つようになり、台は径が大きくなって厚さは少し薄くなった。頭は角ばり、前髪、眉、目、鼻、鬢など顔の各パーツが細く小さくなり、大人しく印象の薄いこけしになってしまった。右から3番目では頭の大きさに比べて胴が全体的に太くなり、裾の括れも太くなった。台は更に薄くなり、下部がやや窄まってきた。4本目は頭がやや縦長になり、それに合わせるように胴も細身になって右端に近い雰囲気になっている。左3本は太めの胴で、形態的には殆ど変っていない。なお、胴の3本の細いロクロ線の内一番上の3本は、右端のみ黒で他は紫になっている。
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