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第778夜:伊藤長一のこけし(2)

Cyoichi_syoki_kao「こけし辞典」などの文献を読んでいると、こけしの良し悪しについて触れていることが多々ある。但し、通常は評価の良いこけしについては、その写真が掲載されているが、評価の好ましくないこけしについては文言のみで写真の掲載は殆どない。こけしの良し悪しは、やはり見て較べて初めて分かるものであり、そうようなこけしも見てみたいと思うものである。本ブログでは、そのような観点からのこけしも取り上げていきたいと思っている。今夜は、その一例として鳴子系の伊藤長一のこけしを紹介したい。口絵写真は、長一こけしの表情である。

Cyoichi_syoki_hikaku

写真(2)の右が最近入手した長一のこけし(7寸3分)。すらっとした直線的な胴、盛り上がりの大きな肩の山、小さめな丸頭など、師匠の松三郎のこけしを継いでいる。描彩に色落ちが無いのはポスターカラーを使っているからでもある。長一こけしに関しては、第600夜で解説しているが、「こけし辞典」では、『初期のものはポスターカラーを使用した情味の乏しいもので、・・・(後略)・・・』とある。その「ポスターカラーを使用した情味の乏しいもの」と指摘されたものが、本項のようなこけしと思われる。確かに、目尻の下がった一側目は何とも情けない表情と言われても仕方ないであろう。左のこけしは昭和43年の同寸のこけし。胴は中央部にやや湾曲が付き、頭は角ばっている。前髪が下がり、横鬢が中央に寄って顔の面積が狭くなったが、表情には気品が漂っている。こんなところから、「こけし辞典」のような評価になったものと思われる。但し、本項のこけしも、目の描彩を除けば、決して悪い出来ではないのではないか。

Cyoichi_syoki_atama_hikaku

写真(3)は頭頂部の描彩である。ご覧のように、前髪から束ねて後ろに垂れた髪は左のように4筆で描かれるのが通常であるが、右では、その内の2筆が赤で描かれて水引のようになっている。

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鳴子系」カテゴリの記事

コメント

私は右のこけしの表情の方が好きです…

投稿: hi | 2012年11月11日 (日) 03時27分

hi様
コメントありがとうございます。
そうですね。右の長一もなかなか味のある表情とも言えますね。
こけし界の先人の評価はひとつの見方なので、それが絶対という訳ではないし、このこけしを掲載することで、再評価されれば嬉しいことです。

投稿: 国恵志堂 | 2012年11月11日 (日) 11時10分

多分、新型(観光)からこの分野に興味を持ったクチだからでしょうが、自分はこけしの描彩にポスターカラー等顔料を使用する事には抵抗を感じませんね。むしろ、染料にはない濃厚さに魅力を覚える事もあります。以前、ヤフオクに桜井昭二さんの初期(昭和28年頃の本人型)で胴体に顔料を使用した作品が出品されていたとき、普通のこけしよりもカラフルっぽいとこに惹かれて思わず即落した事がありましたが、これって、やはり邪道的な考え方なのでしょうか?。

投稿: 益子 高 | 2012年11月11日 (日) 15時09分

益子 高様
こんばんは。
ポスターカラーだからいけないという事はないと思います。今回の長一も胴に古色が付いているためか、ポスターカラーの色もしっくりと馴染んで良い感じが出ていると思います。染料、顔料、水絵具など、それぞれの特徴を生かせば面白いものが出来るかも知れませんね。

投稿: 国恵志堂 | 2012年11月12日 (月) 19時27分

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