第788夜:ゆき子の初期こけし
写真(2)が本項のゆき子のこけし。大きさは6寸4分。
井上ゆき子の初期のこけしについては、こけし手帖611号に「井上ゆき子工人の歩みとこけし」と題した原稿に詳しく載っているので、それを引用させて頂く。
・・・(前略)・・・ 44年秋、夫婦揃って春二の弟子となる。一年間師匠のいる熱塩まで通った。この時期は、師匠のこけしの模倣時代であり、胴裏に春二のトレードマークであった蝶が描かれたこけしがあった。1年間作り貯めたこけしを春二は「ゆき子」とサインさせた。それを春二は3日で全て売りさばいたという。また、45、46年のこけしは、胴底に赤の線を引いている。描彩の目印としていたと聞いた。46年12月、塩川に転居した。・・・(後略)・・・。
写真(3)は本項のこけしの胴底の署名と書き込み。署名の「ゆき子」の字も未だぎこちない。春二が指示して書かせた署名なのであろう。また、目印として引いたと言われる赤線も確かに付いている。ゆき子が自分で木地挽きを始めたのは48年からとのことであり、本項のこけしの木地は夫の四郎である。首の削り込みも深く、木地形態もしっかりしている。胴の裏側には未だ何も描かれていない。
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