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第797夜:春二の直胴型

Haruji_rokurosen_kao 今年もあと残すところ数時間となった。本ブログも800夜目前というところまで来たが追い込みが効かず、800夜達成は年を越すことになってしまった。先ずは1年間、本ブログにお付き合い頂いた皆さんに感謝申し上げたい。さて大晦日のこけしは、最近手に入れた春二のこけしを取り上げることにした。春二は戦前から戦後と長い期間こけしを作っており、その残るこけしも数多く、幸太型や茂吉型を初め、自身の型でも多種多様なこけしが残っている。今夜のこけしは直胴にロクロ線模様だけのシンプルなものである。口絵写真はその表情である。

佐藤春二のこけしは、戦前から昭和30年代までは、胴中央部に括れがあり、胴下部には大きな旭菊を描き、胴上部には旭菊の他、蝶や襟などが描かれる。瞳は大きく、睫毛を描いたものもある。そんな春二の作風が変わったのは、戦後30年代に幸太や茂吉の型を作ってからと思われる。

Haruji_rokurosen_hikaku_2

写真(2)の右が本項のこけしで、大きさは5寸7分。肩の下が微かに細くなっており、そこから殆ど真っ直ぐに細身の胴が繋がっている。頭は平頭で中にガラが入っており振ると音がする。6寸弱の小寸でも手抜きはない。一側目の眼点は向かって右から筆を入れて左に払うような描法で、そのために視線は右方向を向いている。胴模様は胴中央やや下に紫の波線を描き、その上下には対照的に赤細線、赤太線、緑太線、黄太線を蒔絵風に引いている。形態といい、ロクロ線といい、実にシンプルで洗練されている。正に現代のこけしと言えるものである。昭和40年頃の作であろうか。胴の形態とロクロ線模様は幸太型をもとにして春二が工夫したものであろう。この後、胴模様はロクロ線の他に花模様や襟、裾を描いて華麗なこけしに発展していく。写真(2)左は、弟子の井上ゆき子の同型のこけしで大きさは7寸3分。師匠のこけしを良く写している。胴の形態は春二よりは直線的ではなく、肩下から裾にかけてやや膨らんでいる。胴模様はロクロ線のみであるが、線が多く華麗になっている。頭は春二より更に横に広がった平頭であるが、ガラは入っていない。

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コメント

昨年から今年にかけて、多くの工人さんが物故された事は大変痛ましい出来事でした。来年は良き年になる事を切に願います。どうか良いお年を(本年も色々な話を読ませて頂き、ありがとうございました)。

投稿: 益子 高 | 2012年12月31日 (月) 22時12分

益子高様
そうですね。
年と共に年輩の工人さんが減っていくのは寂しいですね。
1年間ブログをご覧頂き、ありがとうございました。
来年も、よろしくお願い致します。

投稿: 国恵志堂 | 2012年12月31日 (月) 23時42分

sun明けましてお目出度う御座います。本年も時々覗かせていただきますnote今朝(新年初の)見たこけしが「春二の、好きな顔」の一でしたのでとっても嬉しいですhappy01目付きの色っぽさがなんともいえませんねheart04家には、手絡や轆轤線の紅がピンクに近い色の「幸太型」が居ます。目の辺りは「クールビューティー系」ですが、すぼめた口付きが一寸幼さを加えているこけしです。胴の挽き方や肩の線、頭の形は本稿の子と似ていますので、制作年代が比較的近いのでしょう。

投稿: こけりん | 2013年1月 1日 (火) 08時17分

こけりん様
新年おめでとうございます。
年明け初めて見たこけしが好きなこけしとは縁起が良いですね。
私も春二のこの顔は好きです。幸太型も良いですね。
今年も良いこけしに巡り会えるのを楽しみにしています。

投稿: 国恵志堂 | 2013年1月 1日 (火) 13時55分

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