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第796夜:正司さんのムメノ写し2種

Hasemasa_umeno_s34_kao 年末を控え寒い日が続いている。今日は最低気温が0度を下回ったとか。とにかく風邪などひかないよう注意して頂きたい。先日、ヤフオクで8万を超える高額落札があったので見てみると、盛美津雄さんのこけしとだるまのセットであった。署名からみて近作であり大きさも6寸ほど。何でこんなに高くなったのかと・・・。思い当たるのは首をかしげたように顔を斜めに描いてところか。確かにこの様式は珍しく愛らしくはあるのだが、競り合い状況をみると3人が6万円を超えていた。第三次こけしブーム(?)の一端を垣間見たような気がした。だが、一番驚いたのは美津雄さんかも知れない。さて、今夜は長谷川正司さんの黒田ムメノ(ウメノ)写しである。正司さんは吉太郎型に専念しているが、最近は吉太郎周辺のこけしにも挑戦している。口絵写真は戦後のムメノ写しの表情である。

東京こけし友の会の9月例会の例会ギャラリーでは、山形系の黒田ムメノ(うめの)のこけしが取り上げられ、その戦前、戦後のこけしが展示・解説された。以前、長谷川正司さんからムメノこけしをやってみたいとの話を聞いていたので、このムメノのこけしを借り受け、正司さんに写しをお願いしていた。そのこけし2種が届いた。

Hasemasa_umeno_s34_hikaku

写真(2)はその内の1つ。左から2番目が「原」で大きさは7寸5分、53才作との底書きがあり昭和34年作のムメノこけしである。横広がりの平頭にきつめの表情、「ふ」の字形の大きな花冠が特徴的なこけしである。正司さんの写しは、木地形態、描彩とも、「原」の雰囲気をほぼ完璧に表現している。特に、きつめの表情は正司さんの得意とするところ。ただ、胴模様の花冠は描いているうちに段々筆が走ってしまい、「原」の女性らしいサラサラ感が男性の力の入ったものになっている。

Hasemasa_umeno_senzen_hikak

写真(3)はもう1つの写し。左から2本目が「原」で大きさは6寸1分、昭和15年作とのことである。頭は丸く、面描はいかにも女性の筆といった感じで優しい表情である。胴模様も花冠は小さくおとなしい。吉太郎の鋭い表情に慣れた正司さんも、表情に特徴がないためか写すのに戸惑ったかも知れない。しかし流石に上手く作ってくれた。なお、このムメノこけしの特徴は、頭頂部の描彩にある。

Hasemasa_umeno_atama_hikak

写真(4)が頭頂部。左が「原」で右が写し。吉太郎および吉太郎型のこけしでは、頭頂部には真中に一本の黒髪が描かれ、その周りに赤い手絡模様が描かれるのであるが、このムメノではこの黒髪も赤になってしまっている。たまたまこの1本がそうなったのか、他のムメノもそうなっているのか興味のあるところである。

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