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第790夜:弘道の蓋付きエジコ

Hiromichi_ejiko_kao今夜は、斎藤弘道さんの蓋付きエジコの話をしたい。先日、ヤフオクで弘道のエジコを入手した。やや下膨れの頭部と表情から、昭和40年頃の作と思われ、弘道としてはあまり特徴のない時期のものである。形が面白いのと蓋付きという点に惹かれたのである。届いたエジコを見て、気付いた点が幾つかあるので、話してみたいと思う。口絵写真は、そのエジコの表情である。

今年82歳となった弘道さんは、今でもエジコを作っており、友の会でも10月に独楽入りのエジコを頒布した。私も入手したが、中には10個程の大小の独楽が入っていて、実によく回る。写真(2)の右がそのエジコであるが、頭部が蓋状になっていて胴部にキチッと嵌まるようになっていて、一旦嵌めると、逆さにしても蓋が落ちることはない。蓋付きエジコは多くの工人が作っているが、殆どは胴部に乗せる形態になっていて、逆さにすれば当然落ちてしまう。

Hiromichi_ejiko_hikaku

写真(2)左が今回入手したエジコであるが、このエジコの蓋がどうなっているのか気になっていた。届いたエジコの蓋は、右のエジコより更にしっかり胴に嵌まるようになっていた。写真(3)のように、逆さにしても当然のように落ちることはない。

Hiromichi_ejiko_sakasa

このエジコは作られてから50年近くになるが木地の変形などは無く、弘道さんの木地技術の優秀さが伺われる。

第二の点は、胴のロクロ線模様である。胴一杯に引かれた緑のロクロ線は、下部が太く、上に行くに従って細くなっている。上部の線の細かさは神業と思える程である。ちょうど緑のグラデーションがかかっているように見える。その上に、紫の波線を描いて変化を与えている。

Hiromichi_ejiko_rokurosen

更に、蓋部に引かれた多重の赤の太いロクロ線に目を向けると、写真(4)のようにここでも其々のロクロ線が下部は濃く、上部は薄くグラデーションがかかっていることが分かる。弘道のこけしやエジコというと、つい表情に目が行ってしまうが、それ以外にも見どころが沢山あるということが改めて分かり感心した次第である。

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コメント

顔の表情だけではなく、木地の技術のすごいものは感動しますよね。
私も弘道さんの小さな蓋付きえじこを持っていますが、本当に素晴らしいものです。
中に入っている独楽は、2ミリくらいの小さなものまでバランス良くキレイに回ります。
宝物です。

投稿: :☆:*・*:☆:*・*:☆: | 2012年12月 6日 (木) 20時45分

:☆:*・*:☆:*・*:☆様
パソコンのデータが消滅してしまったため返答が遅くなりました。
こけしはどうしても表情など描彩面に目が行ってしまいますが、木地の部分にも目を向けると思わぬ発見があるものです。
こけしは色々な楽しみ方が出来、奥が深いですね。

投稿: 国恵志堂 | 2012年12月10日 (月) 20時52分

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