第825夜:福寿のねまりこ(吉野の桜)
太閤秀吉の花見でも有名な「吉野の桜]は、吉野山を下から下千本、中千本、上千本、奥千本と桜の名所が高度を上げながら連なっている。その高度差(200m~700m)により桜の咲く時期に差があり、かなりの長期間、桜が楽しめる名所になっている。今年は開花が早く、下、中、上の桜は既に終わっており、奥まで行けば何とか見られるのではないかという状況であった。観光バスの終点である下千本に着くと、案の定、桜は既に若葉になっており、そこから上千本に至る参道から眺める桜も葉桜になっていた。観光バス駐車場から30分ほど登った竹林院からは奥千本行きの専用マイクロバスが出ており、長蛇の列を並んでようやくバスに乗れた。バスの終点から桜のある西行庵までは更に20分ほどの山道を登ることになる。ここでようやく名残のような山桜に出会うことが出来た。さて、今夜の話は福寿さんのねまりこである。ねまりこは鳴子系に特有の木地玩具であり、昨夜のエジコほどの多様性は見られない。口絵写真は、勘治型ねまりこの表情である。
写真(2)に福寿さんのねまりこを示す。後列左から、勘治型(15.5cm)S48年、勘治型(15cm)S51年、盛古型(15cm)S53年、大正型(14.5cm)S50年代前半、前列左から、普通型(8cm)S40年代後半、勘治型(10.5cm)S51年、普通型(11cm)S50年代、盛作(11cm)S30年代後半。
写真(3)は、左は盛作、右は福寿作。肩の山の低い木地形態、眼点の小さな一側目など、福寿さんが盛ねまりこを忠実に写していることが分かる。
写真(4)は、勘治型のねまりこ2種。左は昭和40年代の作で、肩が角ばっていることが分かる。右は50年代に入ってからの作で、肩は丸くなっている。「高勘」の当主である盛雄さんは勘治型の制作に厳しい制限を付け、弟子筋の工人が勘治型を作るのを許さなかった。その姿勢は実弟である福寿さんに対しても同様であり、勘治型のねまりこは勘治も盛も作っていないのだからと、福寿さんの制作に対しても異を唱えたと言う。そのためもあって、福寿さんの勘治型ねまりこは昭和40年代の末から50年代の初めの頃に作られたものが殆どである。
以下、吉野「奥千本」の桜を紹介したい。西行が庵を結んだという西行庵付近の桜である。山桜であるために、溢れんばかりの桜という雰囲気ではなく、山奥にひっそりと咲いた桜という感じである。
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