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第822夜:古品の一群

Kohin11_h2503get_togatta古い収集家の手記を読むと、素晴らしい古品を纏めて入手したという夢のような話に出くわすことがある。それらは概ね戦後間もない頃の事で、今では願うべくもない。しかしインターネットが普及したお蔭で、全国の古物商が旧家の解体などで出てきたこけしをネットオークションに出品することがある。それらのこけしは単体で出ることもあれば、纏めて出品されることもある。有名な古品は単体で出ることが多く、よく分からないものは纏めて出るようだ。この纏めて出るものには結構面白いものも含まれていることがあり、私も過去に何回か入手している。先月、そのようなこけしを纏めて入手したので紹介したい。口絵写真は、遠刈田系のこけしの表情である。

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写真(2)はその全体像。全部で11本である。同一出品者からは別に11本の古品が出品されており、古物商が纏めて入手し出品したものと思われる。入手したこけしには署名はなく、また作者名や制作(入手)時期を示すような書き込みも見られないことから、こけしの著名なコレクターが集めたものではないだろう。色は飛んでいないものの古色がかなり付いており、全体的には錆びた印象を受ける。こけしの制作時期は昭和10年代の後半から20年代にかけてではなかろうか。直ぐそれと分かる盛秀の古品が入っていたため、価格はそれなりに高くなった。

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写真(3)は大寸もの5本である。左から作者不明8寸(山形系か、胴底に岩城人形店の印が押されている)、盛秀太郎6寸3分、作者不明7寸(遠刈田系、¥35.0の押印あり)、高橋武男5寸2分、高橋武蔵7寸1分。なお、武男と武蔵の判別法については次回解説したい。

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写真(4)は小寸もの6本である。左から阿部常吉4寸2分(¥8.00の押印あり)、作者不明3寸4分(写真(3)の左端と同一作者か)、石山三四郎4寸3分、同3寸1分、弥治郎系作者不明2寸4分、高橋忠蔵2寸。

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