第828夜:高瀬善治のこけし(初期)
「こけし辞典」によれば、高瀬善治は大正5年、17歳の時に小林弥七について木地修業をし、こけしも習ったという。但し、現在知られているこけしは「こけしと作者」「古計子加々美」に写真掲載されたものが最古であるようだ。「作者」「加々美」に掲載のこけしは、頭が丸くやや縦長で、胴上部は肩が張って直線的、肩の段は無いらしい。胴中央部でやや窪み、そこから胴裾にかけてやや広がっている。表情は素朴で、胴の牡丹模様は太い筆致で描かれている。
写真(2)に善治のこけしを並べて見た。左端は昭和22年作、真ん中の3本は昭和15年前後の作、右端が今回入手のこけしである。大きさは8寸、頭はやや縦長で丸く、黒頭の髪先は揃っており、左から2番目の黒頭のように髪先がギザギザにはなっていない。胴上部は直線的であるが、肩はやや丸く低い段になっている。胴模様の牡丹は筆太に描かれている。形態的に、「作者」や「加々美」よりはやや新しく、「愛玩鼓楽」859番とほぼ同型で昭和10年頃であろうか。
写真(3)は頭頂部を写したもの。
写真(4)は顎の部分を写したもの。戦前のこけしには、左のように口の下、顎部に赤二筆で「二重あご」が描かれている。右のこけしには描かれていない。このような二重あごは他に類例が無く、どうして描かれたのか分からない。
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コメント
この方の作風、多分今の小中学生女子が好きそうです。私はもっと年を取っていますが、惹かれます。小松五平のような胴のフォルムはいいなぁと思ってしまいます。現代でいうならツンデレな表情も好ましいです。
投稿: nina | 2013年4月28日 (日) 07時23分
nina 様
丸い黒頭でほんわかした表情が癒されますね。形態は、小松五平や長谷川清一と同様で、お互いに影響があったのでしょう。昭和10年代中頃になると、みな頭頂部が平らで角ばった頭になりますが、私は丸い頭の方が好きですね。
投稿: 国恵志堂 | 2013年4月28日 (日) 21時35分