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第836夜:美津雄さんの初期こけし

Mitsuo_no487_kao温湯の盛秀太郎さんのこけしは、私がこけし収集を始めた昭和40年代後半の時点では最も入手が難しいこけしであり、催事の目玉としてやっと1本が抽選で、しかも寸1万円の高値で出品されているような状況であった。その盛秀こけしを継ぐ美津雄さんも最近は体調が思わしくないようで、こけしもあまり作れないようだ。一方で、ネットオークションのお蔭で、そんな入手難のこけしも結構出品されるようになり、金に糸目をつけないなら割合容易に入手できるようになった。特に珍しいこけしの出品は有難いものである。今夜は、そうして入手した美津雄さんのこけしを取り上げてみたい。口絵写真は、美津雄さんの初期こけしの表情である。

盛美津雄さんは、昭和52年より、祖父秀太郎、父眞一について、木地挽き・描彩の修行を始め、こけしを作り始めた。そして、その初期の作1000本には制作ナンバーを付けている。この制作ナンバーは52年7月頃から付け始め、54年3月頃に1000番に達した。(以上、「盛秀一家のこけし辞典1」より) 従って、作り始めてから約2年弱の間につくられた、このナンバー付きこけしを初期作と言っても良いだろう。なお、奥瀬陽子さんや恵介さんも初期作にはナンバーを付けている。

Mitsuo_no487_hikaku
写真(2)中央が本項のこけし。大きさは尺3分。制作ナンバーは487、昭和53年の作である。保存状態は完璧である。盛秀型こけしの場合、胴中央部の黄色と紫のロクロ線が退色し易いのであるが、まったく退色はない。35年も経っているのに作りたてのような状態は、前の所蔵者が如何に大切に扱っていたかが偲ばれ、それが今回入手の動機の1つでもあった。右のこけしは、大きさ8寸1分、制作ナンバーは791、昭和53年の作。以前、阿佐ヶ谷の天祖神社で開催されていた「民芸こけしの会」の頒布会で中古品として入手したもの。こちらも保存は完璧である。左のこけしは、大きさ尺。昭和61年頃の作で、こちらも保存状態は完璧と言って良いであろう。右2本はナンバー付きの初期作と言えるもので、作行きは近いが、左のこけしとはやや違いが見られる。形態的には、頭がやや縦に長く、頭頂部が尖り気味である。描彩面では、表情の初々しさが一番の見どころであろうか。作り始めの新鮮な気持ちが表情に良く表れている。それから、鼻が比較的細いのも、この初期作の特徴である。左のこけしと比べて頂きたい。ロクロ線、アイヌ模様に大きな違いは見られないが、ダルマ絵の顔の色が違っている。美津雄さんのダルマは、左のように赤い顔をしているのが殆どであり、中央のように肌色なのはむしろ珍しいと言えるだろう。

Mitsuo_no487_syomei_hikaku

写真(3)に署名と制作ナンバーとを示す。制作ナンバーが付いている時期の署名は「みつお」のみが多く、「もり」もあるようだ。その後、昭和55年頃からは「もり みつお」となり、60年頃からは「盛 みつお」、そして平成8年からは「盛 美津雄」と変わっていく。

一見同じように見える盛秀型こけしも、よく観察してみると制作時期により木地形態や描彩に違いが見られ、これはこれでなかなか面白いものである。

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