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第867夜:友の会展示撤収余話(弘道33年)

Hiromichi_s3306_kao7/9~10/20まで約3カ月間開催されていた、東京こけし友の会創立60周年記念展示「友の会の名品と思い出のこけし」展が終了した。大変好評だったとの声を聞き、関係者の一人として安堵すると共に、ご覧頂いた多くの方々に御礼申し上げる。その撤収作業のため20日午後、会場のカメイ美術館を訪れた。閉館までの時間、何気なく売店を覗いていると中古こけしの中に弘道のこけしがあるという。早速見てみると保存状態は悪いが昭和33年作との署名がある。通常の本型と地蔵型の2本があり、売価は1本500円。完品なら万を超えるであろう弘道こけし、もちろん購入してきた。今夜はその紹介である。口絵写真は、その弘道こけしの表情である。

Hiromichi_s3306_2hon
写真(2)がその2本である。右は波線模様の本型7寸、左は地蔵型5寸8分。本型の胴模様は赤線以外は一部を除いて全く消失しており、太治郎型の華麗な胴模様は見る影もない。地蔵型は殆どが赤と黒であるが、首部の紫ロクロ線は殆ど消えかかっている。こけしとして鑑賞するにはかなり厳しい状態ではある。しかし、表情を見るには差して支障はない。頭頂部が大きめな頭で、目の位置はかなり低く、眉と目が離れている。目尻がかなり下がっているのは当時の師匠正一の影響であろう。ほぼ同時期に作られたこの2本でも面描にバラつきがみられ、この6月の時点では未だ手慣れていない印象を受ける。

Hiromichi_s3306_syomei
写真(3)は胴底の署名である。左の地蔵型は「昭和33年6月21日」の作で「三代目太治郎」と書かれている。一方、右の本型は「昭和33年6月30日」の作で「太治郎孫」と書かれている。なお、33年10月作では、いずれも書かれておらず、署名と日付だけになっている。

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写真(4)左に34年2月の地蔵型と並べて見た。形態、描彩(特に面描)とも大きく変わっているのが分かる。約7カ月で木地形態、描彩とも各段に向上しているのが分かる。評価の高い33年作も、安定した良作が出来るのは10月頃からと思われる。

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