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第865夜:大内今朝吉のこけし

Kesakiti_senzen_kao10年に1度という大型で強い台風が今朝、関東地方をかすめて行った。速度が速かったせいもあって当地(横浜)では大きな被害はなかったが、伊豆大島では現時点で16名もの方々が亡くなった。慎んでご冥福をお祈りする。一方で、この台風で北海道では30cmを越える積雪があったという。昨今の異常気象、ここに極まれりである。さて、今夜は岳温泉の大内今朝吉のこけしを取り上げたい。なかなか入手できないこけしは数多くあるが、今朝吉のこけしもその1つであった。今朝吉は戦後も描彩をしていたため、その手のこけしは時々見かけていたが、やはり今一つ物足りないものがあり入手はしていなかった。口絵写真はようやく入手した戦前の今朝吉こけしの表情である。

大内今朝吉は明治16年、岳温泉の生まれ。明治35年、20歳で白栗馬吉の弟子となって木地修行をした。21歳の時に入営して日露戦争に従軍し、23歳(明治38年)で帰還して木地行を始める。こけしもこの頃から作ったという。その後、昭和12年に木地業から引退したが、29年に見い出され、一次の木地に描彩を始めた。35年頃には描彩を止め、37年6月に78歳で亡くなった。

今朝吉は当初からこけしを作っていたが、その後長く休止しており、復活したのは昭和4、5年頃と思われる。残るこけしはそれ以降のもので、6~7寸物が多い。

Kesakiti_senzen_hikaku
写真(2)の右が今朝吉のこけしで、大きさは6寸1分。今朝吉のこけしと言うと、孫の慎二の復元で有名となった逆おむすび形の頭に三角胴、眉の太いこけしが印象的であるが、必ずしもそれ一辺倒ではないようだ。本項の今朝吉は頭はやや大きめの蕪形、眉も決して太くはない。しかし、頭頂部の小さな蛇の目模様とカセの無い小さな前髪、太い鬢、下瞼からはみ出る強く打たれた眼点、大きな猫鼻に3筆で描かれた墨の口は正に今朝吉である。顔の表情は「こけし古作図譜」に掲載されているNo22の今朝吉(鹿間氏旧蔵)に良く似ている。従って製作年代は昭和6年頃か。写真(2)左は昭和14年の一次である(第556夜参照)。

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コメント

いいなぁ♪渋いですね!今の岳温泉のイメージとは合わないけど、このこけしが作られた頃の岳は湯治場だったのだろうなと勝手に妄想してます。

投稿: しょ〜じ | 2013年10月16日 (水) 22時01分

しょ〜じ様
今だと、このようなこけしは出来ないのでしょうね。こけしがその時代を体現しているというのが良く分かります。赤と緑のロクロ線だけの胴模様、赤いカセも無く墨一色の頭部の描彩。何ともシンプルだが表情の味わい、存在感は絶大。こういうこけしが作られた時代が偲ばれますね。

投稿: 国恵志堂 | 2013年10月17日 (木) 14時59分

全くです。自分の生まれる前のこけしは残っていても作られた時代のことはわからないし経験ができません。一言で戦前という括りでも温泉街の風景は幟の柄ひとつで昭和15年頃と大正末を比べても全然違う感じがします(こけしも同様)。正末昭初の東北の田舎(湯治場)はまだ明治の気骨が残ってるような気がして止みません。

投稿: しょ〜じ | 2013年10月18日 (金) 19時21分

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投稿: soyfguwzglb | 2013年10月19日 (土) 03時53分

しょ〜じ様
産地に密着した活動をされている しょ〜じさんならではのコメントですね。1本のこけしを前にしてそこまでの想いが語れるのは、こけし冥利に尽きますね。昭和ですら遠くなってきた昨今、明治を偲ばせてくれるこけしの存在は、この上もなく嬉しいことです。それも、我々を捕えて離さないこけしの魅力なんでしょう!

投稿: 国恵志堂 | 2013年10月19日 (土) 21時01分

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