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第877夜:橘コレクションのこけし(盛秀太郎)

Morihide_s8_rokuro_kao_2今夜も橘コレクションのこけしである。「こけしと作者」147頁の第59図、右から3本目の現品である。「こけしと作者」の不鮮明な写真と比べても胴のロクロ模様などがかなり飛んでしまっていることが分かるが、この型(古型ロクロ)は好きな型で盛美津雄、奥瀬鉄則・陽子・恵介などのものを集中的に集めており、その元となる戦前の盛秀作はぜひ欲しい1本であった。口絵写真は、その盛秀こけしの表情である。

Morihide_s8_rokuro_label
写真(2)が本項のこけしの胴底に張られた橘コレクションのラベルである。これから、このこけしは橘氏が1933年(昭和8年)12月5日に入手されたものであり、当時は長オボコ(古型)と呼ばれていたことが分かる。

Morihide_s8_rokuro_2men

写真(3)が本項のこけしで大きさは1尺3分。ヤフオクに出品されている橘コレクションの他のこけしと同様、相当に黒くなっており消しゴムで汚れを取ってみたが、木地自体が黒くなっていてそれほど綺麗にはならなかった。胴も黒ずんだ上にロクロ模様もかなり消えかけているが、どういう訳か飛び易い紫色が残っている。使われた染料が違うのであろうか。

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写真(4)は左が本項のこけしで右が盛美津雄の同型のこけし(第753夜)である。良く似ているが頭の形や胴のロクロ線の配色に違いが見られる。この型の盛秀こけしは何本か知られており、それぞれに違いがあるのであろう。

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さて、本項のこけしを見ていて気付いたことがあった。それは目の描法である。写真(5)は右目の拡大である。上に凸の長い上瞼を描き、水平の短い下瞼を描き、その間に下に凸の眼点を入れている。この眼点は塗りつぶしでないため上瞼との間に白目が残っている。津軽系の古作こけしには白目のこけしも散見されるが、盛秀こけしにも同様の目があることは、今回現品を手元で見て初めて知ったことである。

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写真(6)に美津雄のこけしと並べて見た。美津雄のこけしは眼点を完全に塗り潰している。そのため、盛秀の目は白目が光って見え、美津雄とは表情が微妙に異なる。また、頭頂部も盛秀は色を塗っていないが、美津雄は赤く塗っている。美津雄が参考にした盛秀こけしがそうなっていたのかも知れない。

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