第893夜:伊藤長一のこけし(戦前)
伊藤長一のこけしについては、第600夜と第778夜で、その戦後作を紹介している。戦前の経歴は「こけし辞典」によれば『山村を有効に使用する目的で、昭和14年秋、同部落伊藤肇宅にロクロ5台を設置し、鳴子から伊藤松三郎を招いて木地を修業した。・・・。昭和15年7月入隊、南支を経て昭和18年9月に除隊。以後ふたたび松三郎の指導を受けつつ昭和21年春に独立した。』と。従って、紙片の「昭和18年頃」が正しければ、除隊後に作り始めた当時に作品ということになる。
写真(2)がその長一こけしである。大きさは5寸。下膨れの蕪頭、胴は細身で肩の山は高い。当時の松三郎こけしの伝承ということになるのであろう。
写真(3)に松三郎こけしと並べてみた。真ん中が本項の長一こけし、右は戦前の松三郎で左は戦後30年台の松三郎。頭の形は戦後の左の松三郎に似ているが、18年頃の松三郎はこのような形だったのかも知れない。細身の胴、肩の高い山は戦前の松三郎を写している。顔の表情も概ね近いようだ。
写真(4)は胴模様をピックアップしたもの。それにしても、この模様は一体何なんだろうか。菱菊の上に描く横菊とも、または楓の変形とも、果ては蝶と言えなくもない。長一のこけしでこのような模様は見たこともないし、松三郎のこけしにも見当たらない。どなたか知っている方があれば教えて貰いたい。
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コメント
祖父のコレクションこけしなのですが
かなりのコレクションの方ようなので
底の名前を お教えいただきたく この場をかりて メール差し上げました
お返事賜れば幸いです かしこ
投稿: たかいしふゆ | 2014年8月12日 (火) 15時20分