第901夜:藤井梅吉のこけし
藤井梅吉は明治31年、岩手県鉛の生まれ。明治40年頃から、小松留三郎や藤井幸左衛門(大沼岩蔵の弟子)について木地挽きを習った。その後、明治45年に藤井万作の養子となり、照井音治について木地挽きの手直しを受け、こけしの作り方も習った。こけしの文献での紹介は「日本郷土玩具・東の部」(昭和5年)が最初である。昭和11年3月には亡くなっているため、残るこけしは多くないようだ。こけしは鳴子系の木地形態に遠刈田系の描彩を施したものであるが、首は南部系のキナキナのようにグラグラ動く。頭頂は手絡模様と黒い蛇の目模様の2種類あり、胴は重ね菊模様の他に無彩のもの、無彩で胴中央部にくびれを入れたものもある。
写真(2)が本項のこけし。大きさは9寸2分。頭頂は蛇の目模様で、前頭部から鬢の後ろにかけて水平の赤い飾りが入っている。肩の山には上部に緑ロクロ線が3本、下部には赤ロクロ線が3本引かれている。胴上下にも赤ロクロ線が2本ずつ入っている。胴模様は5段の菱菊で最下部には四つ花が描かれている。面描は、眉と目に大きなアクセントがあり、二側目の下瞼は下に凸のように見える。これらの特徴から、制作時期は昭和9年頃と思われる。
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