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第904夜:今年最初の新品こけし(正吾作武蔵写し)

Syogo_takezo_s04_kao昨日、高橋正吾さんからこけしが送られて来た。昨年11月に鳴子を訪れた折に依頼したものである。今年になって最初に入手した新品こけしであり、正吾さんの今年の新作でもある。今夜はそのこけしを紹介しよう。昨年11月初め、ヤフオクに1本の古いこけしが出ていた。全体的に相当黒ずんでおり、緑の色は全く消えているような状態であった。そのためか、古品に入れてくる常連さんは現れず、1万円に満たない金額で入手することが出来た。しかし、その愛らしい下目の表情から、武蔵のかなり古いこけしであろうと思われた。11月中旬には鳴子に行く予定があり、まさにグッドのタイミングであった。口絵写真はその正吾さんの新作の表情である。

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写真(2)(3)は左が今回の「原」こけし、右が正吾さんの写しである。「原」は大きさが6寸1分、頭はやや角張った蕪形である。胴はロクロ線の無い白胴で下部に1本の鉋溝がある。胴模様は牡丹で鉋溝の上に赤い土が描かれている。目は顔の下方三分の一くらいにあり、かなりの下目である。左右の眉・目は鬢寄りで離れており、右目が下がっている。眼点は三角状で筆先でチョンと置いたような感じである。愛嬌のある愛らしい表情である。この辺の特徴は「木の花(第拾八号)」の連載覚書(17)「武蔵こけし」の⑩らっこコレクション6寸6分と同様であり、昭和4,5年の作と思われる。

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写真(4)は頭頂部の黒髪と水引。前髪を束ねて後ろに下げた黒髪に横に入れた元結の黒点が前髪から少し離れて描かれている。また、水引は6寸物のためか横と後の二対だけで、その間に斜めに描かれる一筆は省略されている。

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写真(5)は今回作って貰った5本を並べたもの。よく見ると表情にもそれぞれ違いがあるのが楽しい。正吾さんも84歳となり、目が多少不自由になったとは言え、「原」の雰囲気を見事に再現してくれた。それでも、胴のしゃくり(湾曲=反り)がやや甘かったと反省しておられた。また、以前は牡丹模様は簡単だと思っていたが実は難しいとも言っていた。今なお研究心を失わない心の若さが良いこけしを作る原動力なのであろう。いつまでも作り続けて貰いたいものである。

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