第903夜:金三の梅吉型(2)
写真(2)に手絡模様のみの梅吉型を並べてみた。右から8寸(昭和54年)、6寸(55年)、6寸(56年頃)、6寸(63年1月)である。右から2番目は55年1月備後屋で開催された「こけし古作と写し展」での頒布品である。「木の花(第弐拾四号)」の解説によれば、「原」は久松蔵の6寸で昭和4年頃の作。金三はこの「原」に52年の初め頃から取り組んだとある。
右端は菊の葉や四つ花、ロクロ線など通常は緑で描かれる部分を紫で描いている。文献で梅吉のこけしを探してみると、「図譜『こけし這子』の世界」の104頁に掲載されているこけし(1尺2寸3分、昭和初年頃)が同形式で紫色が使われている。恐らく、この梅吉の復元作と思われる。眉・目にはアクセントが出ているが、下瞼が下に膨れるようなことはなく、キリッとした鋭い表情である。右から2番目も同型のこけしであるが、紫ではなく緑が使われ、胴上下にロクロ線は無い。また鋭い表情は同じであるが、眉・目のアクセントはあまりはっきりしていない。右から3番目は2番目と同型のこけしであるが、やや胴が太く長くなって頭は横広の平頭が強くなり肩の山も低い。眉・目のアクセントは2番目よりはっきりしている。左端も同型のこけしであるが、木地形態、描彩とも「原」からはかなり離れており、もう金三自身のこけしになっている。
写真(3)は胴が無彩の梅吉型である。梅吉の無彩こけしには直胴のものと中ほどでくびれたものがあるが、金三はくびれ型を多く作ったようだ。右は6寸、昭和47年の後半から48年頃か。胴は殆ど直胴で中央やや上に大きな鉋溝を入れたような形、鬢が太い。真ん中は49年6月の5寸、昨夜の写真(4)左から2本目と同じ時期のもの。胴は丸みを帯びている。左端は55年10月の5寸。胴は真ん中と同じであるが面描は写真(2)の右3本と同じ整った表情である。
昨年入手した梅吉のこけしを出発点にして、昨日、今日と金三のこけしを見てきたが、901夜の梅吉のように、頭頂部が蛇の目で前髪が無く手絡の描かれた梅吉型は見当たらなかった。また901夜の梅吉では肩の山に緑のロクロ線が入っていたが、金三の梅吉型にはそのような様式は見当たらなかった。
このように優れた梅吉型を作った金三も平成14年10月29日に80歳で亡くなり、梅吉型は三度後継者を失ってしまったのである。梅吉が一代で築き上げたこの優れたこけしが将来誰かによって再現される日を待ち望むばかりである。
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