第908夜:伊豆徹さんの定雄こけし写し(80万アクセス)
写真(2)(3)の左から2本目が「原」として持参した定雄のこけし。「こけしと作者」掲載の橘コレクションの現品である(第885夜参照)。右2本はそれを元に作って貰った写し。訪問した折、徹さんは「原」の写真を撮り、各部の寸法を測ってメモに取っていた。「原」は預けるつもりであったが、無くなったりすると困るとのことで持ち帰った。ご覧頂くように、木地形態、描彩とも「原」とは細部で違いが見られ、この辺りが「原」が手元に無く、写真からの写し作成の限界かも知れない。
個々に見てみると、胴が「原」よりやや長めで、頭の形は縦長ではあるが定雄作は頭頂部がすぼんでいる。扁平な肩の山、胴中央部の絞り具合などはやや甘い感じである。ただ胴裾の大きな畳付きは大胆に再現されている。
面描では、顔の面積が大分違う、定雄作はオカッパの髪が頭のかなりの部分を覆い、顔はかなりの小顔になっている。目は顔の中央部で眉と目は離れている。一方、徹作の方は顔の面積が広く、目も上方にあって眉と近い。従って、定雄作はしっとりとした細面のおぼこい表情であるが、徹作は顔の各パーツが大柄でパッチリ目のいかにも現代風な美人こけしとなっている。この辺りが、こけしが具現している時代性と言えるのかも知れない。
胴模様は4段の赤い花弁だけのシンプルなものであるが、「原」では胴下部の太い赤ロクロ線の上に緑のロクロ線が引かれているのだが、前面は退色して写真では見えなかったものと思われる。徹さんに「原」を見て貰った時に確認しておけば良かったと悔やまれる。
左端は、今回の復元作に緑のロクロ線と茎葉を加えたもの。定雄作も初期は花弁だけだが、後には茎葉が付くようになるので、その様式にしたもの。模様としての完成度はこちらの方が高いかも知れない。
写真(4)に徹さんの定雄型を並べて見た。右2本は今回の写しで左の3本は、徹さんの通常の定雄型。定雄後年のものを元にしているため、頭が横広気味で目も大きく元気なこけしとなっている。
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