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第917夜:橘コレクションのこけし(天野正右衛門)

Amasyo_s20dai_kao

今年第一級の寒波も去り、ようやく春に向けた歩みが始まったようだ。ヤフオクの橘コレクションの出品に天野正右衛門のこけしがあったので紹介しよう。正右衛門は昭和4年から7年まで東根で木地業を開業し、こけしも作ったとされ、その当時かと言われるこけしが「山形のこけし」に載っているが、本格的に作ったのは昭和14年、秀島氏の依頼で復活してからである。戦前は14年から17年頃まで作り、戦後は34年以降に岡崎家の木地に描彩のみ行ったとされる。更に、高梨コレクションには20年代初め頃の作品も残っている。本項のこけしは、その20年代初期のものと思われる。口絵写真はその表情である。

Amasyo_s20dai_3men

写真(2)がそのこけしである。大きさは4寸6分で、頭は作り付けである。横広の角ばった平頭は、高梨コレクションのこけしと良く似ているが、肩の山の角張った形態は異なる。細身のすっきりした胴と小さめの頭は古鳴子の雰囲気を漂わせている。鬢寄りに左右に離れて描かれた眉・目は昭和初期かと言われるこけしに近い。小寸用の簡潔な前髪も珍しい。正右衛門の胴模様は、菊(菱菊、重ね菊)と楓が殆どで、それに高梨コレクションのろくろ線模様が知られているが、本項のこけしは牡丹模様のようであり、これも類例を知らない。手慣れた描法であり、牡丹模様も結構描いたことを伺わせる。胴と肩の山のロクロ線は赤と紫で引かれており、茎と葉は緑のポスターカラーで描かれているようである。

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写真(3)に34年以降の天正こけし(右)と並べて見た。別人の木地形態は当然として、描彩の差もかなり大きいことが分かると思う。

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