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第922夜:大葉亀之進のこけし(戦前)

Kamenoshin_s17_kao

今日は春を越して初夏を思わせるような気候で、東京・横浜周辺の桜も一斉に開花が進んだようだ。満開も間近と思われるが、明日は天候が荒れるようで少し心配ではある。さて、久しぶりに衣装室を整理していて1本のこけしを見つけた。大葉亀之進の戦前のこけしである。以前、本ブログに掲載するつもりでいたが、そのままになっていたものである。口絵写真はその表情である。

大葉亀之進は明治37年、七ヶ宿町稲子の生まれ。大正7年と8年、稲子で開催された木地講習会で佐藤松之進の弟子となり木地講習を受けた。こけしはその当時から作っていたが、間もなく木地業を止め、農業と山仕事に戻った。昭和16年、菅野氏の勧めで一時的に復活し、17年までに100本ほど作ったと言う。戦後は33年に復活し、以後はこけし製作を続け、平成11年7月9日、96歳で逝去した。

Kamenoshin_s17_3men

Kamenoshin_s17_atama_syomei

写真(2)(3)に本項の亀之進こけしを示す。大きさは9寸7分。胴底に、「昭和17年10月」の書込みがあり、戦前16、17年の復活時に作ったこけしと思われる。肩の張った細身の胴に角張った大きな頭は師匠松之進譲りの剛直性を示している。小さな襟の付いた三段の重ね菊は大振りで豪快である。頭頂部からバッサリ描き下ろした3筆の大きな前髪、大きな眉、眼点の大きな一重の眼は穏やかながら明敏な表情を醸し出している。

Kamenoshin_s17_hikaku

写真(4)の左は戦後の再復活期のこけし。肩もなで肩となり、形態もおとなしくなった。前髪は三筆ではあるが小振りとなっている。目は細くなり、穏やかなこけしである。その後は面描、胴模様ともますます繊細が増し、松之進の剛直さとは別の趣のこけしになっていくのである。

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