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第916夜:「こけし辞典」のこけし(阿保六知秀)

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コレクションとは物を集めることなので、どうしても費用が発生する。趣味で集めることが多いので、資金に余裕のある人は別として、大抵は小遣い銭で求めることが多いだろう。限られた資金で如何に良いこけしを集めるかも腕の見せ所である。基本は好きなこけしを求めることであるが、何か手引きになるものがあると心強い。定評のある文献に載っているこけしは、それなりの基準で選定されており、良いものが多く載っている。「こけし辞典」もその1つであり、大いに参考になる。そこで、今夜も、「こけし辞典」に掲載されているこけしで、最近入手したものを紹介したい。阿保六知秀さんのこけしである。このこけしも2本一組でヤフオクに出品されていた。大小2本で、特に小こけしの目尻の釣り上った表情にピンときた。阿保さんのこけしは好きなこけしで前から注目しており、「こけし辞典」もよく眺めていたから、この目尻の上がったこけしは良く覚えていた。しかし沢山は作らなかったのか、この手のこけしを目にする機会はこれまで無かった。先ずは手元に置いておきたいこけしだったので入手できて良かった。口絵写真は、その小こけしの表情である。

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写真(2)がそのこけしである。左8寸、右6寸。描きたてのような保存の良さである。前所有者は大切に保管していたのであろう。この2本もヤフオクでの競争者は一人しか現れず、最低価に少し上乗せした1610円で入手できた。左は、師匠の佐藤善二が得意とした観音こけしで、右は伊太郎型である。共に面描の太い筆致が心地良い。未だ筆慣れしていない感じだが、初々しい真面目な筆使いが見て取れて好感が持てる。特に、伊太郎型の左目の目尻の釣り上りが愛らしく素晴らしい。

「こけし辞典」には、6寸伊太郎型(S43)と6寸観音こけし(S44.12)が写真掲載されている。阿保さんは、昭和41年4月から佐藤善二の弟子となり木地修業を始め、こけしも作った。伊太郎型は43年2月に鹿間時夫氏の依頼で作ったとある。また、幸兵衛型(実際には観音こけし)は44年4月から製作とある。本項の観音こけしは44年5月頃のもの、伊太郎型は43年作であろうか。安価に良いこけしを入手でき、収集家冥利に尽きるものである。

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