第934夜:作者不詳(伊勢・熊野詣で3日目)
写真(2)が本項のこけしである。大きさは6寸5分。遠刈田系の木地形態で、頭はオカッパ、太い眉とそれと対照的に細い瞼に眼点の大きな一側目、鼻は丸鼻、口は紅の二筆描きである。眼点が大きな割には凝視力が強く、溌剌とした表情になっている。胴模様は花模様のようであるが、緑が殆ど飛んでしまっているため、判然としない。
写真(3)は頭頂部と胴底。頭部のオカッパは全面黒塗りで中剃りや飾りなどは一切ない。但し、鬢の筆跡から鬢とオカッパは繋がって見えるが、別々に描いたことが伺われる。
胴底には、鉛筆で「仙台 海谷周松」と書かれている。但し、周松のこけしは写真(4)のようなもので、本項のこけしが同一人物の作とは思えない。また、周松の弟の吉右衛門のこけしにも類似点は見つからない。眼点の大きな一側目は大原正吉の古いこけしや大葉亀之進の戦前のこけし(第922夜参照)にも見られるが、いずれにもオカッパ頭は知られていない。それにこの不思議な胴模様である。各種の文献を調べてみたが、手掛かりとなるようなものは見つからなかった。
海谷周松、吉右衛門兄弟は海谷善蔵の息子であるが、残るこけしは自身の型であると云う。父善蔵は青根の佐藤久吉の弟子で、こけしも沢山作ったというが昭和4年に没しており、そのこけしも知られていない。但し、「美と系譜」によれば大正期の青根ではオカッパが多かったと書かれており、善蔵のこけしにオカッパがあった可能性はある。そのオカッパこけしを真似て、周松または吉右衛門が描いたものかと、想像は膨らむ。
以下は、伊勢・熊野詣で3日目の写真・・・
写真(5)は熊野本宮大社。
写真(6)は谷瀬の吊り橋(十津川村に架かる全長297mの吊り橋)
写真(7)は高野山奥の院。手前の橋を渡ると聖域となり写真撮影は禁止となる。
写真(8)は弘法大師の碑。
写真(9)は高野山金剛峰寺と境内に咲くシャクナゲ(車窓から)。今年はシャクナゲが沢山咲いたとのこと。
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