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第963夜:柿澤父子の盛写し競作

Koretaka_sakari_s8_kao

昨年、カメイ美術館で開催された友の会創立60周年記念展示会には5本の鳴子系こけしを出品したが、その中の盛こけし(昭和8年頃、1尺)に柿澤是隆さんが興味を持ち、その復元作を作りたいとのことだったので、11月に鳴子を訪問した際、そのこけしを預けてきた。その後、是隆さんが体調を崩し延び延びになっていたが、今回の友の会旅行で訪問すると、そのこけしが作ってあった。是隆さんの体調も回復したそうで安心した。今夜はそのこけしを紹介したい。口絵写真はそのこけしの表情である。

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写真(2)は中央が「原」こけしで、左が是伸作、右が是隆作である。「原」こけしの詳細は第577夜で解説しているが、鳴子系には珍しい胴が下に行くほどやや膨らんだ木地形態、ばっさり大らかに描かれた二輪の菊模様、集中度の強い表情など、盛こけしの1つのピークだと思っている。

左の是伸作は今年3月千葉そごうに実演に来られた時に、是隆さんが作れないという事で代わりに作って来てくれたもの。木地形態、胴模様、表情など「原」の雰囲気を良く写してくれたと思う。
今回、是隆さんのお店には、白胴と黄胴のものが6,7本並んでいた。木地形態、表情にそれぞれ違いがあったが、今回は木地形態が最も近い1本を選んだ。いつも作り慣れているものとは違うために、特に胴は細くなりがちである。

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写真(3)に3本の顔をアップして載せた。それぞれの工人の個性が出るのは当然のことであるが、盛は目が中央に寄っているため集中度が高いが、是伸、是隆とも左右の目の間隔がやや離れているため、盛程の集中度は無く、温和な表情になっている。是伸作は鬢、鬢飾りとも「原」を良く写しているが、是隆作が自身の癖が出てしまっている。3筆の赤い鬢飾りは大きく描いて欲しいものだ。

Koretaka_sakari_s8_atama_hi

写真(4)に3本の頭頂部を載せた。前髪上部の元結、5筆の赤い水引、これらも是伸作は「原」に近く描いているが、是隆作は自身がいつも描く様式になっているのが残念である。

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