« 第969夜:ヤフオクの極美古作(第2弾) | トップページ | 第971夜:待望の乗り太郎! »

第970夜:定番のこけし(秋山一雄)

Kazuoa_s39_kao_3

ここ一か月ほどヤフオクでは極美古作の話題で沸騰していたが、それも一段落したようだ。現在のヤフオクは完全に二極化しており、1本で数百万もする古品が出る一方で10本で百円などというバーゲンセール並みの出品もある。昭和40~50年代の第二次こけしブームの頃に盛んに集めていた収集家が高齢、または亡くなって大量のこけしが市場に出て来るケースは今後も増えるであろう。それらは殆どが戦後のものと思われるが、よく見ていると戦後でもなかなかの優品も含まれている。そういったものを程々の価格で入手するのも楽しいものである。こけし界には、英太郎19歳、伝喜33年、弘道33、34年、文吉36年など定番と言われるこけしがあり、秋山一雄39年もそれに類するものの一つと言って良いであろう。先日、この39年作をヤフオクでようやく入手することが出来たので紹介したい。口絵写真はその表情である。

Kazuoa_s39_2

写真(2)が昭和39年(6月29日製作)の一雄こけしである。大きさは1尺、蔵王型である。「こけし辞典」や「こけし・美と系譜」にも39年作が掲載されており、39年作が評価されていたことが分かる。この39年2月14日には父慶一郎が亡くなっており、それ以降、一雄は慶一郎こけしを引き継ぐために精力的にこけし作りに励んだそうだ。

Kazuoa_s39_hikaku

写真(3)は左が本項のこけし、中央が一雄、右が慶一郎の33、34年頃のこけしである。父子共に瞼(特に下瞼)が短く眼点の大きな愛らしいこけしである。その後、一雄のこけしは第352夜のように瞼はやや長くなるが生気の乏しいこけしになっていた。そして、心機一転取り組んだ39年作では、頭がやや縦長となり、胴は中央部のくびれが大きくなった。そして何と言っても一番の変化は顔の表情であろう。眉目は筆が良く伸び、上瞼はやや太く下瞼は細く描いて変化を付け、眼点も小さく鋭い。それまでの一雄こけしとは一変した集中度の高いこけしで、こけしには作る者の気持ちが表れるということを如実に物語るものである。

|

« 第969夜:ヤフオクの極美古作(第2弾) | トップページ | 第971夜:待望の乗り太郎! »

蔵王系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 第969夜:ヤフオクの極美古作(第2弾) | トップページ | 第971夜:待望の乗り太郎! »