2014年12月
第984夜:初期作の味わい(勝英)
こけし蒐集の楽しみは色々あるが、工人の初作(初期作)に力を入れて集めている人も居る。書籍蒐集でも初版本を集める例はあるが、こけしの場合はその表情の面白さに惹かれることが多い。決して上手いこけしではないが、真剣に取り組んでいる気持ち、その新鮮さが表情にあらわれて、稚拙でも味わい深いものとなっている。そして思わぬ傑作(?)に出会う事もあるのである。この初期の表情は工人によって違いはあるが、そう長くは続かない。やがて上手くなってしまうからである。そうなると、初期作の独特の味わいは薄れてしまう。中古市場を小まめに眺めていて、そういうものに出会えたら、そのチャンスを逃さないように気を付けているのが肝要である。今夜は、先日見つけた阿部勝英の初期作である。口絵写真はその表情である。
第977夜:荒井金七の小寸こけし
今年も師走に入った。本ブログも千夜一夜到達を目前にして足踏みしてしまい、本年中の達成は難しくなった。まあ、そういうことはあまり意識しないで進めていこう。11月はこけしのイベント紹介だけで終わってしまい、久しぶりのこけしの紹介である。今夜紹介するのは先日ヤフオクで入手した荒井金七の小寸こけしである。昭和8年の木形子洞(橘)頒布品という素性の良さに加えて全く退色していない保存の良さ、しかも抜群の出来の良さという三拍子揃ったこけしなのに、締め切り間際まで誰の入札も無かったのは、3寸強の小寸もので福沢6枚という最低価のせいだったのであろうか。熟慮の末、当国恵志堂に来て頂くこととなった。口絵写真は、その顔のアップである。
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