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第986夜:伊東東雄と栄治郎型こけし

Haruo_zaou_kao

今年も余すところ1日となった。年初には今年中に1001夜達成と考えていたが、途中でスローダウンしたこともあり、14夜を残して年を越すことになってしまった。楽しみは取っておこうということか…。さて、今夜のこけしは今年最後に入手した伊東東雄のこけしである。鳴子の「高亀」で修業したのに、その作るこけしは蔵王系の栄治郎型という異色の工人である。口絵写真は、そのこけしの表情である。

伊東東雄は昭和12年の生まれ。昭和29年、18歳で「高亀」高橋武男の弟子となり木地修業、こけしも製作した。その作るこけしは、蔵王系の岡崎栄治郎が札幌時代に作った少寸の作り付けが多いようだ。「こけし辞典」にはこげす型のものも見られる。この栄治郎型のこけしは「高亀」でかなり販売されたという。どのような理由で栄治郎型を作ったのかは定かではないが、あの厳格な高亀でよく他系型のこけしを作る事を許し、また売ったものである。東雄は昭和32年には鳴子から転出して製作は止めたとのことなので、製作期間はわずか3年程である。

Haruo_zaou_3men

その東雄の栄治郎型である。大きさは4寸5分。胴底に「昭和三十一年十一月 伊東東作」との署名がある。「美しきこけし」(名和好子こけしコレクション図譜)には、昭和11年の栄治郎作の同型のこけしが2本載っているが、胴模様が少し異なるようだ。三段に描かれた桜崩しの真ん中が、他の2花と同じ様式のものと、2筆の花弁が2つ横に並んだ様式のものである。この東雄のこけしは前者で、3花とも同様式である。

Haruo_zaou_atama

この東雄のこけしでは、前髪・後ろ髪と鬢を細筆で1本ずつ細かく描いており、これは第977夜で紹介した荒井金七とも同じ描き方で、栄治郎小寸こけしの描き方を伝承したものである。東雄が忠実に栄治郎型を写していたことが分かる。

Haruo_zaou_hikaku

この小寸の栄治郎型は他の蔵王系の工人も作っているので並べた見た。左から、田中恵治2本(平成3年、同15年)、岡崎幾雄2本(昭和60年、平成14年)、本品、岡崎直志2本(昭和45年、不明)、岡崎昭一(昭和54年)である。頭の形、胸部の膨らみなど、工人また時期によって変化があることが分かる。但し、胴模様はいずれも、中央の花が2弁を並べた様式になっており、東雄とは異なっている。また、前髪と鬢の描法は、左から4本目の幾雄のみ1本ずつ離した描法になっているが、他の工人はくっ付いた描法になっている。
この1年、気ままな更新にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
どうぞ、良いお年を!

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コメント

 いつも、楽しく、見させていただいています。なかなか、国府田さんのような視点でこけしを見つめることができなく、参考になります。千夜までもう少し、ぜひ、機会がありましたら製本発行していただきたいですネ。
 この1年間は、図譜発行以来、走り回ってきましたが、来年は、少しおとなしく、HPの中で遊んでいきます。      
 良い、お年をお迎えください。

投稿: 坂入良喜 | 2014年12月31日 (水) 06時37分

今年も面白い話、為になる話を色々とありがとうございました。来年以降も面白く、為になる話を期待しています。では、良いお年を。

投稿: 益子 高 | 2014年12月31日 (水) 14時54分

坂入良喜様
坂入さんの行動力には、いつも感服しています。今年は今さんの図譜発行と言う一大事業をやりとげ、お疲れ様でした。来年も期待しています。1年間、ありがとうございました。

投稿: 国恵 | 2014年12月31日 (水) 21時16分

益子 高様
いつも暖かいコメントを頂き、本ブログを続ける励みになっております。来年も、引き続きお付き合い頂ければ嬉しいことです。1年間、ありがとうございました。

投稿: 国恵 | 2014年12月31日 (水) 21時20分

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