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第998夜:佐藤慶治のこけし(H27花見)

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昨31日、絶好の好天に恵まれた中、お花見に出かけて来た。花見の名所、千鳥ヶ淵の最寄駅の地下鉄九段下駅は、平日にもかかわらず改札から地上に出るまでに既に行列が出来ていた。東京の標本木がある靖国神社の露店で喉と腹を満たし、夕刻からは神田川沿いの椿山荘で遊んできた。さて、今夜のこけしは、極美古作の佐藤慶治。昨夜の鶴松同様、その保存の良さは素晴らしい。口絵写真はその表情。

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先ずは満開のお花見写真から。お堀にボートが浮かぶ千鳥ヶ淵の桜。

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靖国神社の標本木に咲く桜。右下に標本木を示す立札が立っている。

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両岸に桜並木が続く神田川の桜。後方の椿山荘ホテルが静かな川面に映っている。

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さて、今夜の佐藤慶治のこけしを紹介しよう。大きさは6寸7分。慶治のこけしについては、こけし手帖609号の「談話会覚書(8)」に全貌が述べられている。本項のこけしは、その写真③と同時期のこけしと思われる。同じ時期の極美品こけしが、手帖627号の4頁に「タイムカプセルから飛び出したこけしたち」と題して掲載されている。本項の慶治こけしは、このタイムカプセルこけしの再来というべきものであろう。タイムカプセルのこけしは、大きさが8寸あり、頭大きく堂々としたこけしである。それと比べると本項のこけしは7寸に満たない大きさのためか、頭もやや小振りとなっている。胴模様のロクロ線の配色は全く同じ。目鼻口が中央に寄った集中度の強い表情も同様であるが、本項のこけしでは眉にアクセントが付いており、より硬派の表情になっている。もう1つ、前髪と前髪飾りの様式がやや異なる。カプセルのこけしでは、中央の三山状の黒い前髪の両脇に紫の半円の飾り、その外側に緑の飾り、更にその外側に赤点の飾りが付けられている。それに対して本項のこけしでは、赤点の飾りが前髪と紫の半円飾りの間に描かれている。やや製作時期に差があるのかも知れないが、昭和1桁台前半の作と思われる。

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昭和12年頃の作(左)と並べて見た。共に頭頂部のロクロ模様は黒1色のシンプルなものであるが、中剃りの有無で区別が出来る。

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コメント

お花見ができるようにまでなられてなによりです。
偶然ですが、31日のお花見はダブリました!
私は飛鳥山から都電で早稲田まで。神田川堰堤を
そぞろってから、「しかたなく」千鳥ヶ淵へ。
人ごみにうんざりして東郷公園に、、というコースでした。
明日から京都ですので、歴史的な一瞬に
立ち会えないかもしれませんが、頑張ってください。

投稿: logos | 2015年4月 2日 (木) 09時38分

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