中の沢亜系

第912夜:橘コレクションのこけし(酒井正進と安藤良弘)

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ここのところ毎週、ヤフオクに橘コレクションの古品が出品されている。保存状態は良くないものの、これらのこけしには昭和1桁代のものも含まれ、また「こけし談叢」「こけし作者」の掲載品という素性の確かさもあって毎回出品作を楽しみしている。なかでもここでしか見られないこけしは資料としても貴重である。今回、「こけし談叢」に載っている酒井正進(実際には安藤良弘)の面白いこけしが出ていたので、入手した。今夜は、そのこけしの話をしよう。口絵写真はその正進こけしの表情である。

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第854夜:瀬谷重治のギボシ

Jyuji_giboshi_kao前回の幸治さんに続いて、今夜はお父さんの重治さんに登場願おう。「ギボシ」と聞いて、それが何なのか直ぐに分かる人は少ないのではないか。私も分からず調べてみた。「ギボシ」とパソコンに打ち込んで、かな漢字変換をすると「擬宝珠」と変換される。この「擬宝珠」とは「伝統的な建築物の装飾でや神社、寺院の階段、廻縁の高欄(手すり、欄干)の柱の上に設けられている飾りである。」とある。ちなみに「五重塔五輪塔などの仏塔の先端に飾られるもので、これは擬宝珠ではなく宝珠である。」ともある。「宝珠」は「意のままに様々な願いをかなえる宝」とあり、こけしの胴模様に描かれることもある。口絵写真は、その「ギボシ」の表情である。

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第853夜:幸治さんの近作

Koji_kinsaku_kao昨日、青葉こけし会のブログを見ていたら、瀬谷幸治さんのこけしが紹介されていた。幸治さんは体調不良で長いことこけし製作を中断しており、頒布は久しぶりとのこと。昨年中頃より愛好家の助力を得て少しずつではあるが、こけしを作り始めていると聞いていた。私も、縁あって昨年来、数本のこけしを手にすることが出来たが、今回の青葉の頒布こけしはそれらとは別の型のものであり、色々な種類のこけしを作っていることが分かった。そこで手元の近作を紹介したいと思う。口絵写真は近作の表情。

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第744夜:本多信夫のこけし

Nobuoh_s14_kao中の沢の本多信夫のこけしを入手することが出来た。このひと月程で、岩本芳蔵、酒井正進に続いての入手で、出品者が同一の方なので、戦前の昭和14年頃に集められたものなのであろう。戦前の中の沢では、岩本善吉、芳蔵の親子がこけしを作っていたが、善吉は昭和9年には没しているため、こけしブームとなった昭和14,5年頃には芳蔵、正進、信夫が三羽ガラスであった。芳蔵は、自身の本人型を作っていたが、正進、信夫は芳蔵の木地に、安藤良弘(工芸試験場の技師)が指導して描彩を行ったと言われている。口絵写真は、その信夫の表情である。

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第733夜:瀬谷幸治の芳蔵本人型

Koji_yoshizo_kaoこけしの縁と言うものは本当に面白いものである。先週、戦前の中の沢こけしを入手して、その紹介をしたが、24日の友の会に出掛けてみると、抽選こけしの中に芳蔵本人型と覚しきこけしが出ていた。それは瀬谷幸治の作であったが、何とも気が惹かれるものであった。この抽選品を手に入れることが出来たのは、やはり縁続きの賜であったのかも知れない。今夜は、そのこけしを紹介したいと思う。口絵写真は、その表情である。

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第732夜:酒井正進のこけし(2)

Syoshin_s13_kaoさて、今夜は酒井正進のこけしである。昨夜の芳蔵と同一の出品者のものであり、芳蔵と一緒に求めたものかも知れない。この正進、胴の前面はかなり退色しており、トレードマークの桔梗の模様も墨の輪郭線を残すだけで、色は殆ど飛んでしまっている。それでも入手したのは、その表情に惹かれてしまったからである。正進の表情として私の脳裏に残っているものとは全く異なり、戦前の中の沢の風土性を強く感じるものであった。それでは、その正進を見て見よう。口絵写真が、その独特の表情である。

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第731夜:芳蔵本人型(戦前)

Yoshizo_honnin_senzen_kao先週のヤフオクには、久し振りに戦前の良品が出品され、その争奪に熱い戦いが繰り広げられた。その結果、貞蔵、広喜、謙蔵、丑蔵などが高値で落札された。私もそれらに食指が動いたものの、そこはぐっと我慢して、今回は中の沢に集中して応札し、芳蔵と正進を何とか入手することが出来た。そのこけしが届いたので、今夜は先ず芳蔵から紹介したいと思う。口絵写真は、戦前芳蔵の表情である。

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第684夜:洋一さんの善吉写し

Yo1_zenkiti_dai_kao荒川洋一さんから待望の善吉写しが届いた。ヤフオクで入手した木形子洞頒布の善吉3本を洋一さんに渡して、その写しの作成を依頼したのは一昨年の12月。「山河と響きの会」の銀座展で上京した折にお願いしたものであった。お忙しい中、面倒な写しの作成を快く引き受けて頂いたことに感謝したい。送られて来たこけしは期待に違わず素晴らしい出来のものであった。今夜は、そのこけしを紹介したい。口絵写真は、8寸善吉写しの表情である。

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第647夜:柿崎文雄の初期善吉型

Kakizaki_zenkiti_hoso_kao今日は年が明けて初めて病院(元の職場)に行って来た。特に具合が悪いという訳ではなく、定期診察と薬を貰うためである。その後、元の職場の仲間と新年の挨拶を交わし、暫しの歓談。帰りに、先日、所蔵印を作って貰った篆刻師が実演をしているというので、川崎ラゾーナに寄って挨拶をし、印を押したこけしを1本記念に置いてきた。さて、今夜のこけしは柿崎文雄の初期善吉型である。文雄の善吉型については第517夜で紹介しているが、その後の変遷である。口絵写真は、細胴初期善吉型の表情。

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第632夜:磯谷直行型のこけし

Naoyuki_yoichi_kao今夜は、11月の友の会例会で入手した磯谷直行型のこけしを紹介しよう。友の会では抽選品として出品されていたが、頒布順最終回のジャンケンに勝って入手の権利を得た。出品は2本セットで出ていたが、大は荒川洋一作、小は本多信夫作であった。2本並べて見ても、表情、胴模様の色調とも違和感なく眺められる。口絵写真は洋一作の表情アップ。

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