思い出

第49夜:「美と系譜」のこけし(1)

Tikara_sei_s41kao_1 最近大阪こけし教室の50周年記念で復刻された「教室だより(第31号)」に「こけし・美と系譜」雑感が載っていた。この「美と系譜」はこけしのカラー写真が多く、掲載こけしの質が高いことから、初心者から研究家までに愛読されている名著である。掲載こけし総数632本で、その多くは古品と呼ばれる貴重なものであるが、現存工人の作も約150を載せており、それらは現在でも中古市場などで入手可能である。その中から今夜は鳴子系の大沼力さんのこけしを取り上げてみたい。

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第18夜:弘道の微笑み(S33年)

Hiromichi_s33_kao_3 さて、第18夜である。先日、S氏から頂いたメールに、土湯の斎藤弘道さんが今は娘さん夫婦と一緒に生活しており、土湯の工房には時々来てこけしを作っているらしいと書いてあった。弘道さんと言えば斎藤太治郎さんの孫で、太治郎型を継承している土湯の名工である。今年の正月の友の会の例会にも、コマ入りのエジコを送ってくれていた。まだまだお元気のようであるが、時は確実に進んでいるのが実感させられた。

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第14夜:信雄さん訪問

Nobuo_naoji_s53kao またまた思い出話である。昭和53年正月の高島屋のこけし展では、遠刈田の我妻信雄さんも実演のために上京されていた。私は早速、描彩している信雄さんのところに行き、しばし流れるような手つきを眺める。出来上がった5寸ほどのこげすは木肌が黒ずんだ光沢を放っていた。聞いてみると材料は「イチイ」の木だと言う。飛騨高山の名産となっている「イチイ一刀彫」に使われる木材で、こけしに使われるのは非常に珍しい。早速1本を求め、ついでに遠刈田訪問の約束をする。

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第12夜:福寿さんとの付き合い

Fukujyu_konarugo_s53kao 前夜の続きである。翌53年正月、福寿さんは東京高島屋デパートの新春こけし展に実演のため上京し、私は再び話しをする機会を得た。実演中で客も多く長い話は出来なかったが、福寿さんは私のことを思い出してくれたようである。そこでは盛古型のねまりこを買い、後日古鳴子型のこけしを求めた。

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第11夜:福寿さんとの出会い

Fukujyu_sakariko_s52kao 第11夜も福寿さんのことである。昭和52年5月5日、この日私は白石の「第19回全日本こけしコンクール」の会場で並んでいた。このところ毎年のように5月連休には鳴子を訪問していたが、昨年の訪問で福寿さんのこけしが一通り揃ったので、今回は前から行きたいと思っていたコンクールに出掛けてみたのである。開会の前から、審査作品を求めるための長蛇の行列が出来ていた。

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第10夜:福寿こけしを求めて

Fukujyu_kanji_s50kao 第10夜は福寿こけしの思い出話である。昭和48年3月、私は前年に引き続き鳴子を訪れるも福寿さんのこけしは棚に無かった。その年の夏にも再度鳴子を訪問し、福寿の店を覗いたが、福寿さんが店頭で実演をしていたもののやはり売り物のこけしは無かった。2度も無駄足を運んだことで、ようやく福寿さんのこけしの入手が現地でも難しいことが分かってきた。

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第8夜:民芸品店廻り(2)

2torakiti_asanosuke_s47kao 第8夜は前夜の続きで民芸品店廻りの話を続けよう。鷺宮に「たつみ」というこけし専門店があることはこけし関係の書物で知っていたが、なかなか訪れる機会がなかった。そしてようやく出掛けたのは、この年の7月1日である。表通りから細い道に少し入った所に店はあった。

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第7夜:民芸品店廻り(1)

Tikara_sei_s47kao_1 3月の鳴子旅行で11本のこけしを入手したものの、この時点での収集本数は23本に過ぎず、こけしを手に入れたいという欲望はつのるばかりで、書物で知ったこけしを扱う民芸品店を訪ねる事になった。

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第6夜:初めての鳴子

Morio_kanji_s47kao_1 第6夜は初めての鳴子の旅の話をしよう。鳴子のこけしに魅せられていた私は、とうとう本拠地の鳴子温泉を訪ねることになる。こけしに寄せる想いは熱く、大学の春休みを利用して得意の夜行日帰り旅行を決行した。日にちは昭和47年3月26日、くしくも私の22才の誕生日であった。鳴子温泉は2年前の東北縦断ツーリング以来である。

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第5夜:本格的な蒐集開始

昭和46年9月に鹿間時夫氏監修による「こけし辞典」が発刊された。この本はこけしの百科事典のようなもので、こけしに関するあらゆる情報が載っており、私は手垢で紙面が黒くなるほど繰り返し繰り返し読んだものである。こうしてこけしに関する知識も増えてくると実物のこけしが欲しくてたまらなくなる。

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