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第10夜:鳴子系にも鯨目が…

Takishima_kujirame_kao

最近はこけし入手の主戦場がヤフーオークション(ヤフオク)になってしまったようだ。1年365日休みなく全国からの出品があり、保存極美の古品から定評のある佳品、また今まで知られなかった珍しい作品まで様々なものが出て来るからである。退職して自由人となり時間に余裕のある現在では、ヤフオクでのこけしチェックが欠かせない日課となっている。さて、2ヵ月ほど前のヤフオクに鳴子こけしでありながら鯨目風の表情をしたこけしが出ていた。滝島茂さんの作であり、特に注目されることもなく最低価で入手することが出来た。今夜はその紹介である。口絵写真はその表情である。

鯨目とは、二側目の上下の瞼が目尻の所でくっ付いて目尻が上に跳ねあがるように描かれた目のことである。その形が鯨を横から見た形に似ているから、そう呼ばれているのであろう。元々、鳴子系のこけしはその殆どが一側目であり、二側目は「高勘」の明治・大正期のこけしとそれを継承したものしか知られていない。そのため鯨目も目にすることはなかった。ただ一度だけ、「ひやね」でK氏が持参した数本の福寿こけしの中に、鯨目風のものがあり感心した覚えがある(そのこけしは「こけし往来」34集の72頁に紹介されている)。国恵志堂は福寿さんとは長い付き合いを持ち、福寿こけしも重点的に集めているが、この往来の1本以外には見た事がないので、愛好家の要望で余技に作られたものと思われる。

Takishima_kujirame

さて、今回のこけしであるが大きさは6寸。胴底の書き込みから平成3年の作のようだ。

Takishima_kujirame_kaomae

顔の部分を見てみよう。二側目のこけしであるが、下瞼が長く伸び、特に向かって右目では目尻が上に大きく跳ねている。明らかに鯨目と言えるだろう。滝島さんがどうしてこのような目を描いたかは分からないが、これも愛好家の要望によるものであろうか。

Takishima_kujirame_hikaku

もう1本、滝島さんの鯨目風のこけしがあるので紹介しよう。左のこけしである。大きさは8寸5分。黄胴で通常は橘勘治型と言われるものである。こちらは、胴底の書き込みから昭和60年頃の作。やはり向かって右目が鯨目風であるが、こちらは下瞼が長く伸びておらず、目尻が上に跳ねてもいないので鯨目と言えるところまでは行っていないようである。細めで鋭い表情は気品もあり佳品と言えるだろう。

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