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第11夜:昭和の香り漂う盛こけし

Sakari_s23_kao

これもヤフオクで見つけたもの。「終戦直後 鳴子 古いこけし 5点」として出品されていたもの。「高勘」のこけしで戦前では無いものの古風な雰囲気を持ったこけしだと思った。それも大きさ違いで5点纏めて出ているのに大いに引かれた。「高勘」大好きの国恵志堂としては見逃せるものではなくガッチリ確保。ここで紹介出来ることが出来た。今の鳴子こけしでは味わえなくなってしまった昭和のほんわかとした暖かさを持ったこけし達である。口絵写真は一番大きなこけしの表情である。

出品タイトルに「終戦直後」とあるが、「高勘」の高橋盛一家が秋田県本荘から鳴子に戻ってきたのは昭和23年になってから。この一連のこけしも鳴子に帰ってきてからのものと思われる。

Sakari_s23_hikaku

真ん中が本項のこけし。左は昭和23年11月24日の署名があるもの、右は昭和24年11月6日の署名があるもの。左と良く似たこけしであり、昭和23年~24年頃に作られたものと推測できる。

Sakari_s23_5hon

5本を並べて見た。左から7寸、6寸、5寸1分、4寸2分、3寸1分。胴底は左の大2本が丸爪で右3本は鋸の切り離し。7寸の胴底には「桜井萬之丞」の書き込みがあるが、勿論「高勘」のこけしである。勘治型など華麗なこけしで有名な「高勘」であるが、その胴模様の種類はそれ程多くは無く、菊模様として、7寸以上の大寸物は上に横菊で下が正面菊、5,6寸の中寸物は2輪の正面菊、そして4寸以下の小寸物には楓が描かれることが多く、この5本もその規格に合っている。

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さて、この5本は、おそらく同時に入手されたものと思われるが、同一工人のものであるかは定かではない。昭和23~24年当時の「高勘」の工人と言えば、当主の盛、盛の妻のきくゑ、そして次男の福寿の3人である(この時期、長男の盛雄は仙台に居て鳴子に戻っていない)。面描、胴模様、そして頭頂部の水引の筆法にして違いが見られる。同時に入手したとしても、作られた時期は同じではない可能性もある。「高勘」は戦前から「勘治一家」とか「盛一家」とか言われるように、家族皆でこけしを作っていたことでもあり、この5本も一人の作では無く、盛を中心にきくゑ、福寿の筆が入っているのかも知れない。

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もう1点、新しい発見があった。それは小2本の前髪の描法である。「高勘」こけしの前髪は中寸以上は櫛形、小寸では左右に振り分けた様式であり、この2本のように一筆で横に引いたような様式は初めて見たもので、おそらくこの時期だけのものであろう。昭和27年に西田勘治が持ち込まれて、それ以降昔の様式に戻ってからは、この前髪は描かれなくなってしまったのであろう。

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