第18夜:極美古作(大沼誓2)
瞬間最大風速が70mを超える超大型台風15号が過ぎ去るとともに気温が下がり、焼けるような酷暑が嘘のように涼しくなった。急激な気温の変化は特に高齢者には厳しいだろう。さて、ヤフオクの極美古作の第4回目に、再び大沼誓のこけしが出品された。出品タイトルは前回と同じく「岡崎斉吉」であるが、今回は大沼誓の可能性も指摘されていた。同寸同型のこけしなら1本あれば良いが、大きさも型も違うとなれば両方を揃えたくなるのがコレクターの宿命。今回も頑張って入手することが出来た。今夜は、そのこけしを紹介したい。口絵写真は、その誓こけしの表情である。
大正期の大沼誓のこけしは昨夜紹介した大寸物の他に小寸の地蔵型が知られており、こちらは数本残っているらしい。
写真左が本項のこけしで大きさは6寸1分、右は植木氏蔵の誓こけしで大きさは6寸4分(「こけし古作図譜」より転載)。頭の形、表情などは昨夜の誓こけし程似ていないので、制作時期はやや異なるのかも知れない。また、本項のこけしでは横鬢が3筆、植木氏蔵品では多筆となっていて、昨夜の誓こけしと反対になっているのが興味深い。
では、本項のこけしを3面から見てみよう。この手の地蔵型では頭がキナキナのようにクラクラと動くものが多いと言われているが、本項の地蔵型はしっかり嵌めこまれている。縦長で下膨れ気味の頭は昨夜の大寸と同じ。胴は、中央部がやや括れた地蔵型。面描も昨夜の大寸と殆ど変らないが、鬢が3筆で描かれている点が異なる。胴はロクロ線の無い白胴で、大寸と同じく2段の横菊を描いている。
なお、「こけし古作図譜」では、大寸と地蔵型の2本が掲載されているので、同じように本項のこけし2本も並べて見た。頭の形や表情もよく似ており、この2本は同時に入手された同時期のものと考えられる。このように同時期の2本を並べて鑑賞できることは何とも有り難いことである。この2本により、大正期の誓こけしがより明確になったことは、鳴子こけしの古作を追求する上で大変有意義な出来事であった。
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