第29夜:津軽の競作3(佐藤善二)
先日のヤフオクに佐藤善二の笠幸兵衛型こけしが出ていた。津軽系の多くの工人が、この笠幸兵衛型を作っているのは良く知られているが、幸兵衛型の先駆者である善二の笠幸兵衛は今まで見たことがなかった。これは何とか手許で良く見てみたいと思い、頑張って入手した。出品者によれば、善二はデパートでの催事に出る時には普段作らないものを目玉商品として作っていたとのことで、この笠幸兵衛型もそんな折に作られたのであろう。口絵写真は、その表情である。
こちらが、本項の笠幸兵衛の全身と笠の上面である。大きさは6寸。「原」である幸兵衛の笠こけしは木村弦三コレクションの1本のみが知られており、津軽系工人の笠幸兵衛型は、これを模したものと思われる。「原」こけしと比べると、本項のこけしは先ず笠のカーブの膨らみが無く直線的である。また、顔の輪郭も顎の部分が角張っており精悍な表情になっている。首は「原」よりやや細く、胴は肩の張りもやや強いようだ。また、笠上面に描かれる紫線は6本となっている。
善二の弟子の笠幸兵衛型を並べて見た。右から善二、阿保六知秀、笹森淳一、本間直子のこけしである。他に、善二の息子の佳樹と小島俊幸も作っているようである。同じこけしを「原」として作っても、各工人の個性が表れるところが手作りの伝統こけしの良さであり、面白味でもある。
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こちらに移店していると知りませんでした。
楽しみにしております。
投稿: 江口芳夫 | 2015年12月 5日 (土) 19時30分
江口芳夫様
お世話になっております。
こちらの(Ⅱ)の方も、よろしくお願い致します。
投稿: 国恵 | 2015年12月 6日 (日) 09時07分