第28夜:チビ盛が来た!
先日のヤフオクに高橋盛の小さな立ち子(戦前作)が出ていた。6.1cmというミニサイズでありながら出品写真で見る存在感は抜群。「高勘」好みの国恵志堂としては見逃せない一品であり、激戦の中を運良くゲットすることが出来た。こんな小品は当時は沢山作ったであろうが、小さいこともあって殆ど残っていないようだ。今夜はその盛の立ち子を紹介したい。口絵写真はその表情である。
標準的な立ち子と並べて見た。右は橘頒布(昭和7年)の盛立ち子で大きさは4寸。有名な勘治一家の立ち子を筆頭に、立ち子の標準は4寸、本項の立ち子は2寸とちょうど半分の大きさ。その小ささがお分かり頂けると思う。形態は右の立ち子と同様、平頭に湾曲の少ない細身の胴から、橘頒布と同時期であろうか。
頭は横広の平頭。こんなに小さいにも拘わらず、前髪は振り分けにし、鬢は2筆で正面から見ると頭の両横に見事に収まり、眉、目、鼻は力強い筆致で描かれ、2筆の紅口が受けている。面描のバランスが素晴らしい。盛の一筆目は大正期には古鳴子型として沢山描かれたのであるが、昭和に入ると小寸の立ち子でも一側目が中心になって殆ど見られなくなる。しかし、本項の一筆目を見るとその品のある愛らしさは群を抜いている。縦1.3cm、横1.6cmのサイズに描かれた面描に盛の力量の凄さを感じずにはいられない。
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