第31夜:古計志加々美のこけし(渡辺喜平)
先日、ヤフオクで入手したこけし(渡辺喜平)の届いたので、胴底を見てみると工人名、入手日(製作日)の他に、朱色の漢数字で番号が記されていた。朱色の漢数字の番号と言えば、あの大正期盛の胴底にも記されており、戦前のこけし文献「古計志加々美」に掲載されているこけしを示す目印にもなっている。そこで、早速「古計志加々美」を開いてみると、モノクロ頁の36番にそれと思しきこけしが載っていた。形と描彩の特徴から、加々美のこけしに間違いなく、今夜はそれを紹介したい。口絵写真はその表情である。
手持ちにある同手の喜平こけしと並べて見た。右のこけしは大きさ9寸で、胴底には何も書かれていない。形態・描彩ともほぼ同様のこけしであるが、細部を見ると若干の違いがみられる。面描では、前髪の髪先が右ではバラ筆でバラバラに描かれているのに対し、本項のこけしでは一筆ずつ分けて描かれている。また、口が右では墨の二筆なのに対し、本項のこけしでは、墨の二筆に紅が差されている。また、胴のアヤメ模様の花が、右では花弁の中心に2点の花芯が見られるが、本項のこけしでは描かれていない。
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