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第42夜:初期作の味わい(渡辺等)

Hitoshi_s4202_kao

初期作のこけしについてはこれまで何度か述べてきているが、土湯系のこけしで出会うことが多い。今夜紹介するのも土湯系で渡辺等のこけしである。等は大正12年、土湯温泉上ノ町の生れ。昭和41年12月より一年間、斎藤弘道と西山憲一について木地修業をした。こけしは当初から作り、佐久間貞義氏によれば、その初作は昭和41年12月28日に作られたと云う。口絵写真は、その等の初期作の表情である。

佐久間貞義氏よりほぼ初作として紹介された等のこけし(S42年1月19日) が、Kokeshi Wikiに掲載されている。木地修業を始めてひと月も経たない頃のものである。角張った縦長の頭にやや太めの直胴。頭頂部に蛇の目があり前髪はきっちりした振り分け髪。二側目もきっちりと描かれて明敏な表情。胴も赤、黒、紫、緑の、これもきっちりした太線と細線のロクロ模様である。きょとんとした嫌味のない素直な表情である。楷書体の描彩は弘道こけしの影響であろうか。

Hitoshi_s4202

こちらが今回入手した等のこけし。大きさは8寸で、胴底には「昭42年2月25日」の署名がある。Kokeshi Wikiの作より更にひと月ほど後の作ということになる。頭はやや丸みを帯びて細面となり、胴も裾部にかけてやや広がりが付いている。ザンバラ風に手早く描いた前髪、眉は太目で勢いがあり、目尻と目頭が離れた二側目は表情が出てきた。胴のロクロ線も直線の他に波線や返しロクロを交え、その間にはレ点状の小紋を入れている。ひと月前の楷書体から一変した草書体のこけしに変身した。作風的には西山憲一の勝次型に近い雰囲気を持っている。

Hitoshi_s4202_hikaku

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こちらの右のこけしは、同時に入手した5寸で更にひと月ほど後(3月23日)の作。左の作とほぼ同様の作であるが、上瞼の目尻が流れて鯨目一歩手前という感じがしないでもない。このようなところから、佐久間貞義氏は治助型を勧めたのかも知れない。

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コメント

土湯にもそろそろ雪の便り。
雪道運転に自信がない私は「冬眠」に入りますー。

ピノ助 様
今年は暖かい日が続いていましたが、ようやく冬将軍がやってきたようです。
外でのこけしイベントは少なくなりますが、暖かい炬燵に入りながら、
お気に入りのこけし達を眺めるのもこけし愛好家の冬の楽しみですね。

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