第47夜:小林善作のこけし(A型復元)
今夜は、12月の友の会例会入札で入手した小林善作のこけしを紹介しよう。善作のこけしについては、千夜一夜(Ⅰ)の第362夜にて、「こけし辞典」の記事を引用して、A型とB型があることを書き、B型の善作こけしを紹介した。A型のこけしは描彩は丑蔵という説もあるが、善作は戦後の昭和40年代に、このA型の復元作を作っている。今回入手したのは、このA型の復元作である。口絵写真はその表情である。
善作のA型の写真は「こけし辞典」に掲載されているが、最近では「こけし辞典」の電子版である「Kokeshi Wiki」で最新の情報を見ることが出来る。「Kokeshi Wiki」の小林善作の項では、「こけし辞典」の写真とともにその復元作の写真も掲載されている。それに依ると、善作の復元作は中屋惣舜氏の「原」を元に作られ、昭和42年2月、5月に東京こけし友の会の例会で頒布されたとある。2月と5月の復元作の写真も掲載されており、最初の2月作の方が戦前の「原」の面影を再現できていると解説されている。
さて、こちらが今回例会で入手の善作(A型)である。大きさは25センチ、やや古色が付いているが退色は無く、とても良い感じになっている。例会には「Kokeshi Wiki」の紹介のために橋本正明氏が来られており、本こけしが昭和42年5月の復元作と同手であると教えて頂いた。但し、Wikiの写真では、胴上部の太い赤ロクロ線が2本なのに対して、本作では間に細い赤線が1本入って3本となっており、友の会の頒布品とは違うのかも知れない。それにしても切れ長の鋭い眼差しが野性的で素晴らしい。友の会の5月頒布品では、表情(特に目の描彩)に早くも変化が見られ、味わいが変化している。復元作の場合、だんだん良くなる場合もあるが、多くは最初の作が優れているようだ。復元に対する想い(気持ち)の強さがあるのだろう。
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