第48夜:秋保の三姉妹(庄七)
先日ヤフオクで入手した豆こけし3本組が届いた。出品写真に載っていなかった小さな箱が付いており、この箱に入って売られていたらしい。保存状態はとても良く、今作ったばかりのように綺麗である。箱に入れた状態のまま、今まで保存されてきたのであろう。よくぞ残っていたものである。木地・描彩の特徴から菅原庄七のこけしと思われる。口絵写真は、3本組の内、一番小さなこけしである。
こちらが、3本組のこけしと箱である。箱は横6.5cm、縦8.5cm、厚さ3cmである。上箱には文字の書かれた和紙が貼ってある。文字は「○○○ 三人姉妹 花巻温泉 長寿庵謹作」と書いてあるようだ。三人姉妹と書いてあるので、初めから大中小3本のこけしを入れて販売するために作ったのであろう。戦前から昭和20年代初め頃のものであろうか。長寿庵は近在のこけしを販売していたが、イミテーションものも下請けに作らせたことで知られている。本作は、間違いなく庄七であろう。
3本のこけしは、底が鋸の切り離しで整形されていないため、きちんと立たない。大きさは左から、大8cm、中6.5cm、小5.5cm。作り付けであるが、首のついた木地形態は流石に庄七。描彩も手を抜かずにしっかりと描かれ目の周りのうす赤い頬紅が、一筆目の可憐な表情と相まって、心憎いほどの豆こけしに仕上がっている。 花巻温泉で、子供(女の子)のおみやげとして売られたものであろう。庄七のこんなこけしが売られていた当時の温泉地が偲ばれる。« 第47夜:小林善作のこけし(A型復元) | トップページ | 第49夜:庄七の小寸物(戦後) »
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長寿庵と言えば、藤原政五郎のイミテーションこけしを思い出しますが、秋保こけしも取り扱っていたんですね。
以前、ヤフオクで底面に「岩手、湯本こけし」と書かれている山形系(小林栄蔵あたりかな?)のこけしや新型風の
面相の「岩手、湯本温泉、藤原政五郎」と底面に署名されているこけし(恐らく、ヤフオクでこけしを検索している人
なら、幾度か見かけると思いますが、明らかに政五郎では無いこけしです)なんかも、長寿庵が絡んでいるのでは
ないかと思うのですが、いかがでしょうか?。
投稿: 益子 高 | 2015年12月17日 (木) 20時21分
益子 高 様
長寿庵については文献等で知るしかないのですが、最初の頃は近在のこけしや秋保などから仕入れた本物のこけしを扱っていたのでしょうね。その後、第一次こけしブームの中でイミテーションを作らせるようにもなったのでしょうか。
投稿: 国恵 | 2015年12月21日 (月) 11時38分