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第57夜:小寸こけしの魅力(吉三郎)

Kitisaburo_s16s_kao1

昨夜は小林吉三郎のこけしを紹介したが、吉三郎のこけしに興味を持ったのは実は今夜紹介する小寸こけしに出会ったからである。小寸こけしには大寸こけしとは異なる稚気溢れる魅力があるのだが、この吉三郎のこけしは正にそれであった。口絵写真にある表情を見て貰いたい。無雑作に描かれた面描は眠っている幼子を思わせる。目は一筆目のように見えるが拡大してみると単純な一筆目ではないようだ。右目は二筆、左目は眼点があるようにも見える。鼻も割鼻を描いたのであろうが、これも二筆ではなく五筆にも見える。これは意図的にそうしたのではなく、筆の穂先が荒れていたために、一筆がそのようになってしまったのではないかと思われる。

Kitisaburo_s16s_3men

さて、こちらが全体像である。大きさは3寸2分の作り付け。細胴で肩には山があり胴上下に2本ずつの鉋溝もあって、昨夜と同じ明治型の形態である。昨夜の作よりは保存状態が良く胴の緑の葉もしっかり残っていて、昨夜の作と同じ花模様であることが分かる。顔の表情については前述したが、三角形の前髪の後ろに黒髪を纏めて流し、赤い水引で結んでいる。また鬢飾りは耳状に描かれている。

Kitisaburo_s16s_kumi

昨夜の大寸物と並べてみた。ほぼ同時期の作である違和感はなく親子のような微笑ましく感じられる。大寸物と小寸物をペアで並べると、お互いに相乗効果もあり、1本とは違った楽しさがある。

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