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第53夜:2016年元日(久志のペッケ)

Hisashi_s30dai_pekke

明けましておめでとうございます!

2016年が無事に明けた。今年は全国的に天候が良く、多くの場所で初日の出が見られたようだ。気温も高めで暖かい正月になった。正月と言えば駅伝を見るのが慣例で、先ほどまで「ニューイア駅伝」を見ていた。さて、今年のこけし界はどうなるであろうか。若い愛好家を中心とした第3次こけしブームは爆発的ではないにしろそれなりに進んでいくであろう。一方、年々鬼籍に入られる工人も多くなり、第2次こけしブームの世代である我々にとっては寂しいことでもある。さて、今年最初の話題として、新山久志のペッケを取り上げることとした。昨年最後に国恵志堂のコレクションに仲間入りしたこけしである。口絵写真はその表情である。

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今年の年賀状である。外形は昨年と同じで中の写真が、福寿の入れ子のおかめ・ひょっとこと滝島茂の立ち達磨になっている。


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そして、家のベランダから見た初日の出(東側)と富士山(西側)。ちょうど日の出の位置にマンションがあるために、日の出の時間がやや遅くなってしまう。

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昨年に続いて挑戦したお節3種(ごまめ、紅白なます、栗きんとん)。

Hisashi_s30dai_pekke_kao

さて、新山久志のペッケをご覧頂こう。大きさは5寸1分。「これぞペッケ」と呼ぶに相応しいペッケである。久志のペッケについては、千夜一夜(Ⅰ)の第669夜で戦前作と戦後作を紹介したが、その戦後作と同手である。ただ、669夜の作はやや黒ずんでいるので、保存の良い本作を再度掲げた次第。横広の平頭に裾部が大きめのくびれ胴の形態が古風で美しい。鬢の下端辺りに描かれた丸い瞳と小さな鼻・口が何とも愛らしい。無垢な幼子の素直な視線に惹きつけられてしまう。穏やかな正月に眺めるには格好のこけしである。

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このような小寸ペッケは1本で見ても良いが、やはり大寸とペアで並べて見てみたい。右のこけしは8寸。久志のこけしは戦後の昭和29年頃には鋭い表情でピーク期を迎えるのであるが、これはそのような緊張感溢れる時期が一段落した後の昭和30年代前半のこけしであろう。木地形態や描彩にも戦前の俤を残している。これ以降になると、次第に洗練されて胴裾部の3本の赤線も平行に描かれるようになって味わいが薄れていく。弥治郎系の中でも決して華やかではないが心温まる穏やかな新山家のこけしを大切にしたい。

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コメント

明けましておめでとうございます、今年も色々と面白い話を期待しています。よろしくお願いします。

益子 高 様
新年早々ご覧いただき、ありがとうございます。
本年も、よろしくお願い致します。

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