第66夜:昭三のこけし(2)と蟹ツアー
先週末の土・日に一泊二日で蟹ツアーに行ってきた。昔の職場の仲間との旅で、多くの仲間が退職して時間にもゆとりが出来、ようやく実現したものである。場所は城崎温泉の隣駅の竹野という所で夏の海水浴と冬の蟹が有名とのこと。せっかくなので、城崎温泉で一風呂浴びてから竹野に入った。蟹が目的のツアーなので蟹民宿に泊まり、普段はなかな食べられない立派なずわい蟹を腹いっぱい堪能した。相応の宿泊費に遠方からの交通費が重なってり、贅沢な旅であったが満足度は高かった。さて、今夜は先日の友の会で入手した小林昭三のこけしを紹介しよう。口絵写真は、その表情である。
小林善作の三男である昭三は、新聞社に勤務する傍ら昭和42年頃からこけしを作り始めたが多くは作っていない。平成15年に新聞社を退職してからは本格的に作り始めたが、平成22年からは休止している。
こちらが今回のこけしで、胴底に「44.5」の書き込みがあり、昭和44年頃の作と思われる。大きさは7寸8分。頭は四角く胴は肩から裾にかけて緩やかに広がっており三角胴と言っても良い程である。鋭角的で湾曲の大きな眉と目。目・鼻・口が中央に寄っており、クシャとした顔である。何とも特異な表情であるが、得も言われぬ笑顔は一度見たら忘れられず、如何にも肘折と云った風土性が感じられる。
左は千夜一夜(Ⅰ)の872夜で紹介した43年1月作である。ほぼ1年程の差であるが、その作るこけしは全く違っているのが分かると思う。類似点は、頭が四角いことと胴が三角胴気味であること、胴上限のロクロ線の様式くらいである。左の43年作は、目・鼻・口が中央から離れ、大らかでポワっとしたほのぼのとした暖かさを感じるこけしであるが、右の44年作では、逆に目・鼻・口が中央に寄って集中度の強いこけしになっている。胴の重ね菊も左は花弁が水平から外下がりの素朴な花と葉を描いているが、右では花弁が外上がりで躍動的で力強い描法になっている。善作のこけしに同様なものは見当たらないので、昭三自身の思いから作られたこけしなのであろう。全く正反対とも思われるのにどちらも甲乙つけがたい魅力的なこけしになっている。
以下、蟹料理・・・
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城崎温泉、憧れの場所です。
ゆかたに下駄でカラコロ外湯めぐり、してみたいーー!
&かに三昧とくれば言うことなしですね♪
うらやましゅうございます。
投稿: ピノ助 | 2016年2月 5日 (金) 15時35分
ピノ助様
蟹は別としても、城崎温泉は実に風情のある素敵な温泉地です。
こけしは無いですが、下駄のカランコロン音も心に浸みますね…。
機会を見つけて、ぜひ外湯巡りを体験してみて下さい。
投稿: 国恵 | 2016年2月 5日 (金) 23時46分