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第77夜:木形子洞頒布の泰一郎(利吉名義)

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正月の友の会例会の入札に利吉名義の泰一郎こけしが出ていた。昭和7年頃ということから橘氏の「木形子洞頒布」品かと思われた。当時のものとしてはまずまずの保存状態であったが、胴模様の井桁に黄色が使われていたようで、その部分(2カ所)が退色して抜けているような感じに見えた。これは入手する事が出来なかったが、程なくして同様のこけしがヤフオクに出品された。こちらは友の会品よりも状態が良く入手出来たので紹介したいと思う。口絵写真はその表情である。

小椋泰一郎は明治22年、秋田県雄勝郡高松村の生れ。小椋養治の長男である。12,3歳の頃から父養治について木地修業をし、玩具類や木地物を挽いた。こけしは大正期のものから残っている。昭和4年に天江富弥氏が川連を訪問し、佐藤利吉にこけしを注文し、利吉からこけしを受け取ったため利吉名義のこけしとなったが、製作者は泰一郎であった。昭和7年、橘文策氏が川連を訪れ、同年「木形子洞頒布」として泰一郎(利吉名義)のこけしが頒布された。

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こちらが本項のこけしの頭頂部と胴底。胴底には、「木形子洞頒布」のラベルがかすかに残っている。

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そして、こちらが本項のこけしの本体である。大きさは1尺1寸。前垂れに井桁模様の堂々たるこけしである。土橋慶三氏による泰一郎こけしの3分類(A,B,C)では、B型に属するこけしである。この木形子洞頒布による泰一郎こけしの全貌は定かではないが、大寸の前垂れ井桁模様が中心だったようである。泰一郎こけしの目というと、林檎の種と言われるような小さな一筆目が代表的であるが、この頒布では塗り潰した大きな黒目であり、本品では下瞼が水平であるが、湾曲したものもあるようだ。眉が描かれているのは大寸のためだろうか。この手のこけしを図録等で見てみると細部には異なる点があるようだ。例えば、肩の段の2本のロクロ線の配色が、本品では上が緑で下が赤であるが、逆のものもある。また、長い首の上部で木を継いで、継ぎ目に緑のロクロ線を引いたものもある。着物の絣模様(縦線)も本品は上から下まで1本であるが、途中で切って2段になっているものもある。

黒々とした前髪と鬢は雄大であり、大きな黒目は全体を塗り潰しているため表情に乏しく宇宙人の目のようにも見えるが、離れたところから見ると何となく風格を感じる。やはり泰一郎と思わせるこけしである。

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