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第71夜:佐久間由吉のこけし

Yoshikiti_s13jizo_kao

湊屋のこけしの続きで、今夜は佐久間兄弟の長兄由吉のこけしを取り上げたい。明治5年生れの由吉は12歳の頃から木地修業を始めたのであるが、明治23年の水害によって土湯を離れており、昭和10年代になって復活する以前のこけしは知られていない。復活以降は継続的にこけしを作り続け、戦後も30年代まで作っているので、かなりの数が残っている。「木の花」によれば由吉のこけしは、初期、1期、2期、3期、戦後の5期に分かれるようだ。口絵写真は由吉こけしの表情である。

Yoshikiti_s13jizo_3men

こちらが本項の由吉こけしである。大きさは4寸1分の太子型、後述のカセの様式から、第1期(昭和13年~14年前半)の作と思われる。胴上部は太い赤と細い黒のロクロ線、胴下部は黒の返しロクロ、その間に黄の太いロクロ線が入っている。胴裾の台状の部分は赤のロクロ線を放射状に散らしている。赤と黒を主体とした如何にも由吉らしい胴模様である。なお、胴上部の赤ロクロ線にはポスターカラーを使っているようだ。ザンバラの前髪、短めの鬢、カセはうろこ状で中に黒い小点が散りばめられている。眉は大きく勢いがあり、目は大きめで明敏な表情である。製作時期による「カセ」の特徴が「木の花」で解説されている。

Yoshikiti_s13jizo_atama_sok

こちらが頭頂部と胴底の様子であり、底は上げ底になっている。署名は無い。

Yoshikiti_s13jizo_hikaku

戦後の由吉(右:84歳)と並べて見た。4寸7分という小寸のためか面描、胴模様とも纏まっており、戦前作の俤が感じられる。

Yoshikiti_s13jizo_kase_hika

両者のカセの違いを比べて見た。カセ下部の赤線は1本(初期・1期)、2本(3期・戦後)、0本(2期)となっている。

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コメント

由吉こけしで思い出すのは、今から16年前の夏に友人と土湯にドライブに行ってきた事です。「二代目・浅之助」の看板を掲げている店の中を何気なく覗いてみたら、ガラス棚の中に渡辺和夫さんの由吉型が並べてあり、その鮮やかで濃厚な色彩の胴模様に思わず惹かれて購入しました。和夫さんは自分の作品を「良い出来のこけしだろう」と言いながらも友人の持参した短冊にも快く描彩してくれるなど、気さくでなおかつ自負心の強い方のように見えましたが、その自負心に違わず、なかなかの名品を作っていて、結構人気があった工人であったと記憶しております、それだけに早世が惜しまれます。

益子 高 様
渡辺和夫さんは上手い工人でしたね。由吉型のこけしは特に良い出来でした。その後、二代目浅之助を名乗ってからは、和夫時代よりは鋭さはなくなりましたが、それでも水準以上のこけしを作っていました。ほんとうに早逝が残念でした。

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