第81夜:「是伸頒布会」第4回裏話
昨夜に引き続き、「是伸頒布会」第4回頒布こけしの話である。今回の頒布品の「原」こけしは数年前にインターネットオークションで入手したもの。描彩は黒色以外は殆ど消失しているが、極端な程の平頭と下目の愛らしい表情に惹かれた。殆ど湾曲の無い一筆目は盛の筆とは明らかに異なり女性の描彩を思わせるが、大きな前髪と鬢は雄大で一家での合作も考えられる。胴には大きな楓を二葉描いており、見かけない形態であるが、高勘の古作と思われる。口絵写真は、写しの表情である。
この高勘古作については、以前是隆さんに1本作って貰ったが、それほど「原」に忠実なものではなかった。是伸さんが作るのは今回が初めて。今年の1月末にその試作品が送られて来た。写真の左端がその試作品。いつも作っている形態とかなり異なっていると、作るのがなかなか難しいと是伸さんは言っていたが、極端な平頭を大胆に再現してくれた。面描も、大きな前髪と鬢、やや太い眉と可憐な一筆目を上手く写している。胴の楓模様は、上下を多少ずらして変化を与えている。このままでも良い出来であったが、左から2本目の頒布品では頭の形をより「原」に近く改善し、二輪の楓も「原」に合わせて縦一列に並べた。なお、試作から頒布品に移る過程では筆を変えて前髪を太く纏める案もあった。それが右端の作で、千葉の是伸展(3/16~22)に出展された。
こちらが、その頭頂部の描彩。前髪の大きさと形態の違いを比べて頂きたい。
恒例のこけし絵が描かれた収納箱はこちらである。
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